第1話 寂しいですよ

「ふぅ・・・」

君のタメ息が漏れる。


アパートのドアに差し込むキーが。


上下が違って。

二度目でやっと、開きました。


真っ暗な室内。

外廊下の灯りを逆光に、君のシルエットが浮かんでいます。


今日は疲れた。


君の表情が。

そう、物語っています。


頑張ってるんだ。


何故か。

そんな風に思いました。


フッ・・・。


君が微笑んでます。

それは無邪気な笑顔ではなく。


とても。

複雑な笑み。


寒そうだ。

五月も終わりだというのに。


肩を震わせている。


≪フフッ・・相変わらずだね・・・≫


えっ・・・?

君があたりを見回している。


空耳かな?


ふと。

顔を上げる君。


僕を見つけて。

立ちすくんでいました。


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