第3話 主人公の妬み
「余計なお世話だよ。俺は冬が好きだから」
「なによー! 女子が死んでほしいランキング第1位の誠一をせっかく慰めてるのにー!」
琴乃は不満げに頬を膨らませる。
たしかに琴乃の言う通り、琴乃は女子から蛇蝎の如く嫌われている俺を励ましてくれている。
本当は素直に好意を受け取りたいが、俺は琴乃と距離を置きたい。
その理由は——
「俺は女子に興味ないから」
「そうそう。俺と誠一は愛し合っているから」
琴乃の後ろから、すっと影のように世海が出てきた。
いつの間に俺の近くにいたんだ?
気配をまるで感じなかった。こいつは忍者か?
「いや、やっぱり俺は女子が好きだ」
「ひどいな! 心の友よ!」
「ふふふ! やっぱり誠一と世海は仲いいね!」
世海は陰キャでコミュ障という設定だが、俺と琴乃の前では陽キャぽっく話す。
世海なりに、陽キャグループにいる俺と琴乃に合わせようと頑張っているんだろう。
「あたしたち湘南探偵団は、永久に不滅だもんね!」
「琴乃……まだそれ言ってんのかよ」
俺は呆れながらため息をついた。
「悪い? だってあたしたちの大切な思い出じゃん」
湘南探偵団——某探偵漫画にハマった世海が小学生の時に作った。
探偵団と言っても、何か事件を捜査するわけじゃない。中身なんてない。ただ俺たちが友達であり続けるために、作っただけだ。
そう。小学生まで世海が、俺たちのリーダーだった。
……たしか、そんな設定だったはず。
「あ、そうだ! 誠一、ちょっとこっち来て!」
琴乃は思い出したように手をポンっと叩くと、急に俺の右手をぎゅっと掴んだ。
急に掴まれて、俺は全身がぶるっと震えた。
「おい! ちょっと待って——」
俺は琴乃に掴まれた手を振り払おうとするが、
「とにかく来て!」
琴乃は俺の声を無視して、グイグイ俺を引っ張っていく。
クラスメイトの視線と、世海の視線を感じる。
世海がすごい目で俺を見ている。その目は、たぶん妬みに染まっていた。
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【★あとがき】
モチベになりますので、
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転生したら推し声優の息子だった件〜どんなことでも褒めてくれる過保護な推しに溺愛されて、将来ダメな大人になりそうです〜
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