第2話 主人公の親友キャラ

「おはよー! 世海!」

「おはよう……琴乃……」

「もお! 朝から暗いぞー! 元気注入だあ!」

「——いってえ! 叩くなよ!」

 

 朝の教室。

 湘風高校(しょうふうこうこう)の2年A組。

 名前から連想されるように、このゲームは神奈川県の湘南を舞台にしている。

 教室の窓から海風が入ってきて、気持ちいい。

 俺は世海と琴乃がイチャつく姿を見ないようにして、窓際の席に座る。


 主人公の世海は、はっきり言って「陰キャ」だ。

 オタクで女の子が苦手で、何よりコミュ障。

 だけど——なぜか複数の女の子にモテる。

 モテる理由は考えてもわからない。エロゲの主人公なんて、そんなもんだ。

 

 対して、誠一こと俺は、主人公の親友キャラだ。

 俺は、陽キャでイケメンだが、主人公の幼馴染だからよく一緒にいる、という設定だ。

 それだけならよくあるエロゲ主人公の親友キャラだが——


「こっち見ないでよ! カスイチ!」

「あいつを見ると目が腐るわ!」

「早く死になさいよ!」


 何もしてないのに、クラスの女子たちに罵倒される。

 カスイチ——俺のあだ名だ。「カスの誠一」を略してカスイチ。

 俺が転生する前の誠一は、イケメンであることをいいことに、学校中のかわいい女子に粉かけて、なんと七股をかけていた。

 それで学校中の女子ヘイトをたっぷり買っている。

 そんなカス野郎の誠一でも、親友の世海の彼女——琴乃には手を出さなかった。

 いや、出さないはずだった——


「相変わらず嫌われてるねー! ま、元気出せ。誠一にもきっと春が来るからね!」


 世海とイチャイチャしていた琴乃が、俺の席までやって来た。

 おいおい。ヒロインと距離を取るために、わざわざ机に突っ伏して寝ていたのに……

 向こうから来られたら、俺はどうしようもないじゃないか。



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【★あとがき】


モチベになりますので、


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転生したら推し声優の息子だった件〜どんなことでも褒めてくれる過保護な推しに溺愛されて、将来ダメな大人になりそうです〜

https://kakuyomu.jp/works/16817330657517640455

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