第102話 【番外編:消費者の声】
―――それはとある休日のことだった。
突然、商人ギルドから小包が届いたのだ。
箱のフタには"ギルドに届いたものを転送いたします"とメモが貼ってある。
『お?わたし宛のものなのかな?』
身に覚えもなかったわたしは、恐る恐る箱を開けてみたのだが……
なんとそこには、
わたし宛のお手紙がたくさん入っていた!
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「拝啓、親愛なるひきこもり令嬢様。
ひきこもり令嬢シリーズを愛用している20代の女です。いつも、手の届きやすい商品をありがとうございます。美容アイテムのおかげで、悩んでいた肌のくすみと乾燥が解消されて、恋人が出来ました!春に結婚を予定しています。ありがとうございます!」
「ワトソン伯爵令嬢様。
先日、わたくしの息子が熱を出した際、冷えピタを使用させていただきました。
熱を出すと長引く息子ですが、使用してからはすぐに熱が引くようになりました。
息子はひんやりとしたその感覚が気に入ったようで、ずっとおでこにつけています。
どうもありがとうございました。」
「ワトソン伯爵令嬢ニコル殿。
いつもお世話になっております。商人ギルドのギルド長、ジン・クラウドと申します。
冷えピタ商品のジェルの材料となっているスライムの件について御礼を申し上げます。
多数存在するにもかかわらず、世の需要も少なく安価なスライム討伐依頼は、これまで不人気でした。しかし今では、スライム需要が高まったおかげで、駆け出し冒険者の生活にも助かっていると冒険者ギルドからもお礼をいただいています。今後ともご贔屓によろしくお願いいたします。」
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この他にも、商品に対する消費者のみなさんからのお礼や要望が寄せられていた。
中には、デトックススープ置き換えダイエットの1ヶ月の経過をまとめて送ってくれた方もいる。
『すごい……!どれも貴重だし、今後の参考になりすぎる…』
最初は
自分が欲しいものを作ることから始まり、
そして領民の仕事に繋がるように…
最終的には領の売上にも繋がって領民が潤えば…と思ってやっていたのだが。
こうして市場にもいい影響が出ているようで何よりだ!
正直まだ成人もしていないので、契約手続き周りはお父様に任せっきりだけど…
こうした"お客様からの生の声"が聞けるのは、本当にありがたいことである。
そうしてすべてのお手紙を読み終えた私は、
引き出しからお気に入りの便箋を取りだし
早速お返事を書くことにした。
『こういうのは誠意を持って対応せねば!』
いただいた意見や感想がちゃんと開発者本人に届いたことが分かれば、みんなも喜んでくれるだろうし!
―――よし!できた!
ほぼ半日を使って全員へのお返事を書き終わったわたしは、マリアにお願いして郵送してもらうように頼んだ。
『これからもみんなの役に立てる商品のアイディアが降ってきますように!前世の会社の健康オタクおばさん、お力をお貸しください!』
普通は異世界ならば神に祈るところだが
わたしはちがう。
前世の会社の健康オタクおばさんの知識だけが頼りだ。
軽くおばさんに祈りを捧げたわたしは…
その後、休日らしくお茶を楽しむのであった。
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