第103話 魔法学の試験

「「「おぉぉ〜!!!」」」


―――魔法の特訓を始めてから2ヶ月。


現在わたしは、魔法学の試験会場で

日頃の特訓の成果をお披露目していた。


「ニコル様、2ヵ月前とは別人のようにご成長されていますね!火・水・風・土・癒…

どれもCですよ!」


『な、なんとかやりきったぁ〜…』


先生の言葉を聞いて、

試験に合格したことを知りホッと胸を撫で下ろす。


ちなみにCとは、至って普通の評価である。

評価基準はS〜Eで構成されており、

D以下が再試験の対象だ。


つまり、わたしはギリギリ合格したということ!

最初の魔力量がEだったのだから、

かなり頑張ったのではないだろうか。


「正直無理だと思っていたが、何とかなってよかったな!やればできるじゃないか!」


「ニコル様!さすがですわ!短期間でここまで魔法を取得されるだなんて!」


様子を見に来た殿下とライラ様も

一緒になって喜んでくれている。


先程聞いたのだが、殿下はS、

ライラ様はBだったとのこと。

ふたりともすごいねぇ……


『う〜それにしてもクラクラする〜。

早くご飯食べて復活して…あとでオリバー様にお礼にいかないと。』


一日で多種類の魔法を使い疲れ果てたわたしは、クラス全員の試験が終わったあとすぐ、

殿下とライラ様と共にカフェテリアへと向かった。



―――ガヤガヤ…


カフェテリアに到着すると、

奥の隅のほうに珍しい人物を発見した。

普段ここではあまり見かけない、オリバー様であった。


「オリバー様!」


ちょうどお礼をしたいと思っていたので、目の前まで行き呼びかけると、

菓子パンを頬張るかわいらしい天使がこちらを見て驚いている。


「あれ…ニコル嬢だ。殿下と、お友達?」


ライラ様は初めてオリバー様と対面するので、軽くお互いを紹介すると…

一緒に食事を摂っても良いとお許しをもらったのでそうすることにした。



「……ということで、無事に魔法試験に合格する事ができたのです!オリバー様のご指導のおかげです。ありがとうございました。」


魔法試験の報告をし、オリバー様にお礼を伝えると「うん。頑張ったもんね。ふふ、よかった…」とほんのり照れている。


ぐうかわである。


合格したあかつきには、

甘いお菓子をたくさん献上させていただく事を約束していたので、

帰ったら張り切って作ろうと思う。


オリバー様も少しそれを期待していたのか

「あの…僕…また、モンブランが食べたい。」とねだってきた。


『うん、全世界の栗を消費してやろうか。』


思わずそう思ってしまったが、これを聞いた隣の食いしん坊たちがものすごい勢いで食いついてきた。


「おい、モンブランとはなんだ。」

「そ、それはもしかして…お菓子のことなんですの?」



……ということで、急遽。

明日の放課後は学校のサロンにて、みんなで合格祝いパーティーをすることになった。

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