第101話 指導の成果

―――あれから1ヶ月。


オリバー様の魔法指導を受け続けた結果、

平凡な魔力量なりに、平凡並の魔法が使えるようになってきた。


ひとまず樽8分目くらいまで水を貯められるようになったのだ!


なんとか最弱令嬢は免れることができた。

あとは来月の試験にギリギリ合格するのみ!

(魔法学に関しては自分に期待していない)


ちなみに、この世界の魔法には

特に"属性"というものはない。


魔力量の個人差はあれど、

あとは得意不得意なジャンルがあるだけで

満遍なくいろんな種類の魔法は使えるのだそうだ。


例えば、わたしを検診してくれていた医師。

あのひとは治癒魔法を使っていたけれど

治癒魔法が特に秀でているだけで、火も出せるし水も出せる。


ちなみにわたしは、治癒魔法に関しては指の切り傷くらいならば治せるレベルだ。


いまのところ、

水を出すという基本練習が多かったので、

水魔法が1番マシである。


ひとつだけ分かったことは、

魔法を使う前にはかならず魔力の流れを感じること。


水なら体内が水道になっているイメージ、

火なら体内が薪になっているイメージをしてから手のひらに押し出すと発動しやすい。


『いつかスライムくらいは倒してみたい…』


そんな魔物が出るようなところにいつか行けるようになるのかは不明だが、

密かに憧れてはいるのだ。



―――そういえば!

なぜ忙しいオリバー様が、合間を縫ってまで

わたしの指導を引き受けてくれたのかがわかった。


ズバリ、お菓子目当てだったのだ。


あの天使、お兄様と同じく大の甘党で、

わたしのお菓子をずっと食べてみたかったとか。


それはそれは……

お礼も兼ねて、張り切ってお菓子を作って献上させていただきました。


特にこの季節にピッタリのモンブランがお好きなようで、初めて見た時は「くるくる…」と目を輝かせ…

初めて食べた時は「おいひい…」と微笑んでらっしゃいましたよ。


もう、ずっとそのままでいてください。

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