第64話 デビュタントの最終準備 2

「どれもいいけど…これが一番ニコの美しさを引き立てている気がするわ!」


お母様が大層満足そうに手を叩いた。

メイドのマリアも、商人も、ほかの侍従も

大賛成と言わんばかりに頷いている。


あれから怒涛の試着を終え疲れ切っていたが…鏡の前のドレス姿を見ていたら

わたしもなんだかテンションがあがってきた。


『最高にかわいいのでは?』

自画自賛せずにはいられない。


色はパステルカラーの薄いブルー。

形は肩出しAラインで腰から下はボリュームが抑えられている。

くびれはありつつスラリと見える。


細かなクリスタルが散りばめられた薄いシフォンレースが表面を覆っていて、

シンプルかつ上品だ。

ライトアップに照らされたらキラキラしそう…


イヤリングはゆらりと揺れ、

ネックレスの宝石は小ぶりだけどオーロラカラーでアクセントになっている。


当日の髪型は、ゆるやかなハーフアップにして、透け感のある、ダイアモンドが散りばめられたレースリボンをつける予定だ。


「本当に…冬の妖精もお嬢様の前では顔出しできないくらいに美しいですな。」


商人がポツリとそう言うと、

周りのみんなもウットリと同意した。


まだお父様やお兄様にはお披露目していないけど、2人ともどう思うだろうか?


『はやくこのドレスを着て、

お父様とダンスを踊りたいな…』


はやる気持ちを抑えて、

わたしはもう一度鏡を見た。

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