第63話 デビュタントの最終準備 1

―――気がつけば11月。


デビュタントを来月に控えて、

わたしも屋敷のみんなも準備で大忙しだ。


マナーレッスンもダンスレッスンも

今では復習程度になり…


あの鬼の黒縁メガネイケメン鬼教師も

「何も言うことはございません。」と

優しく微笑んでくれるようになった。


このアメとムチ…

知ってしまったら危険である。


家庭教師との勉強も順調で、

学園入学試験も割とできたのではないかと思っている。これは前世の記憶が大いに役立っていそうだ。


この国の歴史については、"ニコルお嬢様"が本好きだった事もあってなんとかなったし、

魔法学だけ苦労したけど、そこに注力すればよかったので、基本知識は問題ないと思う。


…さてさて。残すところは見た目の準備。


健康計画書も1年11ヶ月目を実行しており、

転生した手の頃と比べたら見違えるようになったと思う。


『やった!ちょっとだけ膨らんできた!』


まな板だったお胸もお尻も、

ほんの少し女性らしくなってきた気がする。

成人の時には、出るとこ出てる女になりたい。


「奥様、ニコルお嬢様。商人がお見えになりました!」


メイドのマリアが知らせてくれると、

お母様は客間に通すように伝えた。



―――わぁぁ…すごい!


商人が来た理由は、デビュタント用のドレス選びのためだ。

わたしはドレスに関して無頓着なので、

センス抜群なお母様にお任せをする。


「ニコ、どういった雰囲気のドレスを着てみたいかしら?」


「そうですね…あまり派手すぎず、地味すぎず…上品で膨らみが少ないものが好きです!」


それだけ言うと、お母様には充分だったようだ。次々と候補を決めていらっしゃる。


他にも、リボンとイヤリング、ネックレス、手袋、ヒールも指示を出している。


ひとまず5セット程候補が決まった。

どれも素敵な色と形と組み合わせだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る