第11話 現実はそんなに甘くない
あれから一週間が経ち、
"ニコルお嬢様"の記憶が完全に融合された。
とても不思議だけど、
前世の私の記憶もしっかりあるし、
ニコルお嬢様の記憶もしっかりある状態だ。
まず、ここはセントラル王国。
この大陸には5つの国があり、
その中でも特に平和主義で2番目に大きいのがこの国だ。
1番大きいのはこの世界を統治しているグレートカナル帝国だそう。
わたしは、そんなセントラル王国の王都にあるワトソン伯爵邸に住んでいて、
そのご令嬢らしい。
魔法も魔物も貴族も存在するこの世界は
実にファンタジーである。
転生初日、その事を知ったわたしは
『わたしも魔法が使えるのかな!?』と
無駄にわくわくしてしまい、
「ヒール!」だの「ステータス!」だの唱えてみたけどまったく発動しなかった。
誰でもどんな魔法が使えるわけではなく、
前世の異世界知識とは少し違うみたいだ。
いま思い出すと、とても恥ずかしい。
ちなみに先日、ニコルの記憶が
「生活レベルの魔法は使える」と教えてくれた。
ウキウキで早速試してみたら、
とりあえずコップ1杯分の水は出た。
……よわい。
よわすぎる。
まだほかの魔法は試してないけど…
同じくらいのレベルだと思われる。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?」
私は思わず、
枕をバフンバフンと顔にたたきつける。
異世界ものだと、転生するときには神様と話したり、特別なスキルとか、レベルカンストというのがお決まりではないの?
世の中そんなに甘くはなく……
自暴自棄になるわたしであった。
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