第2話 限界社会人サラ

私の名前は一宮サラ22歳。

何が悲しくてこんな大晦日に家計簿をつけていたのかというと、すべては借金のせいである。


ちなみにこの借金は

唯一親が残した悲しい形見だ。

しかもかなりの額で、その分月々の返済がバカにならない。


父は会社を経営していたのだけど、

実は借金地獄だったそうで。


そんな素振りもなく

贅沢しながら飄々と暮らしていた両親は、

わたしが18歳になった夏、

交通事故でこの世から去ってしまった。


莫大な借金の存在が明らかになった時は

人生で初めてお茶を吹いたっけ…


頼れる親戚もいなかったわたしは、

借金を返済し生き伸びるためにも、

高校を卒業してすぐに就職をしたのだ。


もうひとついうと、

朝から夕方までは会社に勤め、

夜は居酒屋でバイト。

休日はコンビニでバイトをしている。


ちなみに1週間のうち、休みは無い!

はははは!


「ははっ……はあ……」


なにがおもしろいのかは分からないが、

機械的に笑いが込み上げてくる。


ま、しょうがないんだけどさっ。


でもたまに思う。

友達つくってカフェに行ったり、

お洒落して素敵な男子とデートに行ったり、

休日をのんびり過ごしてみたい。


できれば田舎で野菜でも育てながら

好きな時間に起きて、

おいしいものを食べて、犬と暮らして…


督促状に怯えない

素敵なスローライフを送りたい!


そう、ひもじいわたしの唯一の楽しみは、

夢のスローライフの妄想にふけることであった。

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