28



すると、パシンっと手を振り払われた。


「……っ!」


「ぼ、僕がEランクのお前なんかと踊るわけないだろう!ふざけんな!」


なっ……こんなに怒られますか?


ランクって1個しか変わらないじゃん……。


吉村くんはふんっと怒ってその場を立ち去った。


そしてその足でCランクのお嬢様に声をかけ、マッチングしていく。


周りにいた人たちが哀れな目で私を見る。


ああ、もう終わった。ダメだ……。


色んな人がマッチングしていく中、私だけはひとり取り残されている。


最終的に私だけが残ってみんなに笑われるんだ。


必死で涙をこらえようとした時、さっと手が伸びてきた。


「えっ……」


顔をあげてみてみると、そこにいたのは大和だった。


「お嬢様、私と踊ってくれませんか?」



大和は私の前にひざまずき、手を差し出す。



「ウソでしょう……なんで大和くんがEランクの女に」


「いやぁあああ」



周りからは悲鳴にも近い叫び声が聞こえてきた。


「大和……」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る