10
「和菓子の赤坂なんて聞いたこともないわ。老舗でもないし、だいたい和菓子って庶民でも食べれる安物じゃない。そんなものを持ってくるとかバカみたい」
二階堂さんは、バカにしたように笑った。
「もしかして……わざと落としたんですか」
私は声を震わせながら尋ねた。
「当たり前でしょう?嫌いなのよ、和菓子とか。それにDランクのあなたがでしゃばらないでくれない?」
「……めて、ください」
「はぁ?」
「拾ってください!」
私は強い口調で二階堂さんに言い寄った。
「何?気持ち悪いんだけど」
「これはお母さんとお父さんが早起きして作った和菓子。みんなと仲良くなれるようにって思いを込めて作ってくれたものなの!落としたりしないで!」
私は声を荒げてそう言った。
「バカじゃない?小さな和菓子屋なんていつかつぶれるわ」
「拾ってください!」
私がずいっと彼女の前に出ると、二階堂さんが後ずさりをする。
するとその瞬間──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます