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そしてみんなに呼びかける。


「あ、あの……!これ、私の両親が作った和菓子なんです。良かったら食べてください」


私はそっと和菓子を教卓の上においた。


全員じゃなくても、興味を持った人が食べてくれたら嬉しい。


あわよくば友達も出来たら……。


すると二階堂さんがそれに気づいて、カツカツと靴の音を響かせながらこっちにやってくる。


ええ、あのSランクの麗華さんが!?

もしかして、和菓子を案外好きだったり……?


だとしたら仲良くなれそうかも!


「これ」

「あ、はい!もらってください!」


そう言った瞬間、彼女は一つ大福を手に持つと、そのままそれを床に落としてしまった。


「あっ!」


「あ~ら、ごめんなさい?なんかあまりにも陳腐すぎて手に持っていられなかったわ」


くすくすと笑って見せる二階堂さん。


彼女はいっこうに落とした大福を拾おうとはしなかった。




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