☆★☆★☆★☆★☆★10

 割れたビッグダークエッグの黄身波に呑まれて、ニャンレオは遙か彼方まで飛ばされていた。

 輪廻転生蝶りんねてんせいちょうの七色に燃える翅を羽ばたかせて必死に抵抗するも、空しく勢いを失ってしまう。

 途端に呼吸が苦しくなった。

 そして慣性の赴くままにあるがまま流される。

 もはやここがどこかわからず、どれほどの時間こうしていたのかもわからない。下手すれば何億年という時間が経過しているのかもしれない。

 しかし、それでもニャンレオはこの宇宙でひとりじゃなかった。



「みんにゃ、力を貸してくれ」



 ニャンレオがお願いすると、輪になっていた新・太陽系の惑星たちが一斉に動き出した。惑星たちは手を取り合うように直列してから太陽系第九惑星である冥王星の重力がニャンレオをかろうじて捉えた。冥王星がいなければニャンレオを掴むことができずに今もなお宇宙を彷徨っていたことだろう。

 そうしてニャンレオは惑星たちの力を借りることでなんとか体勢を立て直した。

 冥王星上空に掩蔽えんぺいするニャンレオは冥王星のハート型の地表を見下ろす。惑星越しの重力レンズによって光が曲がり、アインシュタインリングが発生していた。そのリングの中心には黒星卿が見えた。


「雑種の分際で星を動かすか」


 無論そんな黒星卿の声はニャンレオには届いていない。

 しかし、互いにどうするべきかはわかっていた。


「これで最終幕だ」


 そう言って黒星卿が左手をまっすぐ上方にかざすと、倒れていた草那藝之大刀くさなぎのつるぎが音もなく起き上がる。極太の柄頭を左手のひらに乗せて刃が直立した。のちに直列した新・太陽系惑星に重なり、黒星卿から見てその最後尾に位置するニャンレオに刃先が向いた。要するに黒星卿とニャンレオの間に九つの太陽系惑星が直列している状態である。

 そして黒星卿は巨刀を振り下ろす。


「暗黒星――《天叢雲あまのむらくも》」


 草那藝之大刀が太陽系第一惑星である水星に迫ったところでニャンレオも動く。

 輪廻転生蝶を模したはねがさらに燃え上がると、惑星を覆うような大きさにバァーッと広がった。よくよく見ればそれは一匹一匹の蝶々の集合体だった。


太陽系惑星直列ソルシステムプラネットシリーズ水金地火木土天海冥すいきんちかもくどてんかいめい――!」


 ニャンレオは呼吸を整えてから肉球のなくなった手のひらを握り込む。拳を構えると、背中の翅が大きく羽ばたいた。

 そして先頭である冥王星に向かって、すべての星の思いを乗せた一撃を放つ。


「《太陽系超新星オールスター・ノヴァ》!!!」


 そのニャンレオの星拳は振り子の原理によって惑星たちに次々と重い力が伝導していく。

 冥王星から海王星へ、天王星から土星へ、木星から火星へ、地球から金星へ、水星から草那藝之大刀――そして黒星卿へ、と。


 何はともあれ。

 草那藝之大刀と一番はじめにコンタクトしたのは、その惑星の約70パーセントを鉄で構成された水星だった。水星は草那藝之大刀とぶつかった瞬間、ガキンと大火花が散って隕石をあたりに振りまいた。


「太陽系第一惑星マーキュリー!」


 戦いのさなかニャンレオは叫んでいた。

 すると不思議なことにマーキュリーと共鳴する。なぜかはわからないがニャンレオはマーキュリーとの思い出が走馬灯のように巡った。マーキュリーは小さいながらも鉄のように固い意志を持つスターモン思いのやさしい惑星だった。


 だがしかしそこで草那藝之大刀が水星の外殻を削り、マントルに達した。のちに核をパカッと卵を割るように叩き割った。真っ二つに割れた水星は左右に離れ離れに去って行く。

 そして次は金星と草那藝之大刀が折衝せっしょうした。


「太陽系第二惑星ヴィーナス!」


 金星は二酸化炭素の厚い層に覆われており92気圧ある。これは地球の水深920メートルと同等だ。高度45キロメートルから70キロメートルにかけて硫酸の雲が浮いており、そこでは4日かけて金星を1周する『スーパーローテーション』という嵐が巻き起こっていた。

 その高気圧の嵐に刃が侵入した瞬間、ものすごい勢いで草那藝之大刀の刀身が酸化したがそれも一瞬の出来事に過ぎない。草那藝之大刀は硫酸雲の鎧を寸断すると、金星の地表に到達してそのまま一刀両断した。金星が割れると高密度の大気も重力から解放されて宇宙に雲散霧消した。


 ニャンレオは密かにヴィーナスを思い出す。いつも明るくて意外と空気を読むのが得意で気立てのいい惑星だった。カモノホシとお風呂に入るのが好きで頻繁にのぼせていた。

 ニャンレオは涙を呑んで、次の惑星へと思いを託すしかない。

 そしてとうとう次はニャンレオのアベックである地球と草那藝之大刀が衝突した。


「太陽系第三惑星アース!」


 大刀は地球の大気圏を突破する。肥沃な大地の赤道に対して垂直に一刀が叩き下ろされた。大陸がスイカ割りのようにひび割れ、震度測定不能の大地震を引き起こしたのち、追随するように大噴火が各大陸で巻き起こった。衝撃波がブルーマーブルの地球全土を駆け巡り、各地で大津波が発生する。その大津波は噴火によって流れ出たマグマを飲み込み、水蒸気を噴き上げて冷やし固めて、新たな大陸を作った。

 勢いそのまま外殻を破壊して草那藝之大刀がマントルにさしかかったところで、地球に思わぬ援軍が現れた。それは地球の周回軌道上にいた黒星卿に対して地球の陰から反時計回りにたったひとつの衛星がせまったのだ。


「チッ」


 舌打ちをした黒星卿の左側からクレーターだらけの月が出現する。地球の周回軌道に乗って自転しながら薙ぐように体当たりをかます。

 黒星卿は左手で草那藝之大刀を振り下ろしていたので避けることはまず不可能だった。しかし黒星卿はハナから避ける気などなかった。ただただ億劫そうに左脇の間から右手をだして月を受け止めた。

 その瞬間、月の自転と公転が同時に止まった。


「にゃに……?」


 ニャンレオは度肝を抜かれた。

 片手で五体のない衛星を受け止めるなんて埒外すぎる。

 しかし、これが星の力なのだ。


 そんなニャンレオに構わずに黒星卿は大蛇のような帯を動かすと、月をシュルシュルと包んで締め上げてから泥団子のように粉砕した。月の残骸はバラバラの隕石となり地球に墜ちていき、各地で森林火災を引き起こしていた。

 そんな地球の滅亡的状況を手に感じながら、ニャンレオはアベックとの思い出が巡る。春夏秋冬を何度ともに過ごしたか知れない。アースともっと遊びたかった。もっと一緒にいたかった。ずっと傍にいたかった。もっと恩返ししたかった。


 ニャンレオのその思いも空しく地球の深さ約2900キロメートルにも及ぶマントルは草那藝之大刀に断ち切られた。続いて液相えきそう外核がいかくに到達した。ドロドロとした地球の中身が飛び出すと、地熱の源泉が草那藝之大刀の刀身を真っ赤に染め上げる。地球内部に対流していた金属流体が溢れると、ダイナモ機構が崩れ、地球の磁場が乱れる。

 だがそんなことお構いなしに大刀は剥き出しとなった地球のコアとも言える固相の内核ないかくを叩き割った。

 これが地球最後の日だった。

 ニャンレオは啼泣ていきゅうした。

 歯が櫛のように欠けるほど食いしばりながら、冥王星に触れた拳にさらに力を込めた。

 振り上げた拳を下ろすことはできない。

 もうあとに引くことはできない。


「太陽系第四惑星マーズ!」


 ニャンレオが叫ぶと今度は火星と草那藝之大刀がぶつかった。

 酸化鉄を大量に含むおかげで火星の地表は赤い。比較的小さい惑星のため大刀の勢いに負けそうになり、このままでは火星が押し切られてしまいそうになった。

 まさにそのとき、


「太陽系第五惑星ジュピター!」


 そう名前を呼ぶニャンレオに答えるように火星の後ろに控える太陽系で一番大きい惑星が火星の裏側を支えるように受け止めた。木星の巨大な目玉のような大赤斑の水素ガスの中に火星はめり込んでいく。

 そして大刀と火星の酸化鉄を大量に含む地表との間で大きく火花が散った。

 その次の瞬間――水素ガスと連鎖反応して大爆発が巻き起こった。

 それは惑星による自爆である。

 しかし超火力の惑星による自爆でも草那藝之大刀はびくともしない。どころかその爆炎ごと切り裂いた。


 これでも駄目にゃのか。


 ニャンレオは絶望しかけたがまだまだ諦めない。

 するとその大爆発の爆風の中からリングをまとった惑星が突如現れる。

 ガキンギリリリィ!

 と、草那藝之大刀としのぎを削った。


「太陽系第六惑星サターン!」


 土星は独楽のようにさらに回転率を上げる。環の隙間に位置する羊飼い衛星群と草那藝之大刀が摩擦を起こして激しい不協和音を奏でた。しかし徐々に形成は明らかになった。

 土星の環はあっけなく断ち切られた。

 そして草那藝之大刀は土星の自転方向と抗うように角度を斜めに変えると、土星の表面はリンゴの皮むきの要領で桂剥かつらむきにされた。こうして厚いガスの層を剥ぎ取られてコアが剥き出しになった頃には土星の自転は完全停止した。

 黒星卿は草那藝之大刀を垂直に構えると、ひと思いに振り下ろして土星は芯から滅星された。


 残りの新・太陽系惑星も三星になってしまった。

 ニャンレオは最後の望みをかけて拳に力を込めた。


「太陽系第七惑星ウラヌス! 第八惑星ネプチューン! 第九惑星プルート!」


 新・太陽系キングブラザーズ集結である。

 三星は三体問題を無視するかたちで軌道共鳴したかと思えば、トライアングルの位置を取った。天王星と海王星は縦ではなく横に並び、その背後に冥王星を配置して最後尾をニャンレオが務めている構図である。いうなればサクランボフォーメーションだった。各惑星の間には1ナノの隙間もない。

 草那藝之大刀は天王星と海王星の谷間にガッチリと挟み込まれた。刀身はピキピキと凍結して、はじめて大刀の勢いが殺された。ウンともスンとも言わずに膠着状態が続く。


「げに浅墓あさはかな」


 黒星卿はそう言うと、一時的に草那藝之大刀の柄から左手を離した。それから籠手こてを纏いし両手を鎧擦よろいずれさせながらも、胸の前で厳かに手を合わせた。


「生まれ生まれ生まれ生まれてせいの始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりにらし」


 唱えながら、合わせた手のひらをもう片方の手首方向に滑らせて手首をひねり、手のひらと手のひらの間に丸い窪みを作った。ちょうどおにぎりを握るように両手でまん丸をつくるような格好だ。その手のひらの間からは胸部にぽっかりと空いた黒い穴がのぞく。


「《黒道輪廻転生不可説不可説転こくどうりんねてんせいふかせつふかせつてん――重力制限解放・召喚星しょうかんせい


 その次の瞬間、黒星卿の胸穴からイヴ星に住んでいたかつての星たちが星本来の姿を取り戻して召喚された。つまり五体のないまん丸な星たちである。フォボス、ダイモス、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト、カロン、トリトンなどの衛生をはじめ、ガスプラ、イトカワ、イダ、リュウグウなどの小惑星群も放出された。

 そして黒星卿は嫌らしく微笑む。

 最後には満を持して宇宙に穴を開けるような光を放つ恒星がポンと生み出された。


「【黒太陽くろたいよう】」


 しかし、それは生前の温かな光の太陽先生とはかけ離れた黒い太陽だった。

 黒太陽は黒いにもかかわらず、瞳を焦がすように明るくけたサングラスが眼球に張り付いたようである。黒星卿から遠ざかるにつれて黒太陽はみるみる大きくなり地球の約109倍にまで膨れ上がった。周辺宇宙の温度が急上昇すると、太陽黒風が強烈なジブリとなって吹きすさぶ。

 草那藝之大刀の刃を黒太陽群団が螺旋を描くようにまわると、その刀身は浸食するように焼け焦げて赤黒く燃え上がった。すると天王星と海王星の表面温度も一気に上昇して草那藝之大刀をガッチリとホールドしていた氷が溶けてしまう。どころか天王星と海王星が石炭のように真っ黒に焦げてしまった。

 そして再び草那藝之大刀がニャンレオめがけて動き出した。


「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 ニャンレオは半ばヤケクソになり、さらに強く力を込めて冥王星に拳をく。

 その甲斐あって三星のトライアングルは草那藝之大刀を一時的には弾き返した。

 しかし代償はそれなりに大きかった。

 三星は圧力に耐えきれずに粉砕されると、天王星と海王星は焼きすぎたクッキーのようにくずほぐれて、冥王星のハート平野も中心からひび割れ砕け散った。

 そしてついにニャンレオは惑星たちの庇護がなくなり丸腰となった。


「星に寄生するしか能のない分際で星に勝てると思うたか」


 黒星卿は人知れず言った。

 ニャンレオは惑星たちとの絆という名の引力が断ち切られていくのをひしひしと感じた。

 思い出とともに惑星たちが星屑となってキラキラと目の前で散っていく。

 ニャンレオは宇宙の片隅でたったひとりぼっちに取り残された。

 王を冠する新・太陽系惑星兄弟に弾き返されて草那藝之大刀は仕切り直しとなった。その刀身を螺旋状に伝って衛星たちを引き連れた黒太陽群団が昇った。

 その中心にはもちろん黒太陽がいた。取り巻く小惑星たちは太陽黒熱にドロドロに融解され、ニャンレオの知っているやさしい太陽先生は見る影もない。もちろん可愛げなど微塵もあろうはずもない。黒太陽は4個の水素原子を1個のヘリウムに変えて核融合反応する際に質量欠損を起こすことで、それと引き換えに莫大なエネルギーを生み出していた。


 だが、これだけの恒星級の巨大な物質を操るとなれば黒星卿ともいえど骨が折れた。重力操作や黒歩を応用しなければとてもじゃないがぎょしきれない。

 そして振り上げられた草那藝之大刀とニャンレオの間に黒太陽がザンザンと昇ってきた。

 その次の瞬間――大刀は再び振り下ろされた。


「――ッ!」


 ニャンレオは七色に燃えたはねをめいっぱい広げて黒太陽を受け止める。

 否、受け止めるなんておこがましい。

 両手を叩いて潰された羽虫がしばらくの間手のひらにただへばりついているだけだ。

 しかしそれよりも問題は熱だった。

 これは熱いなんてもんじゃない。

 すべてがどうでもよくなるほどの圧倒的なようだった。空色の毛並みが黒い熱光に包まれる中でニャンレオはビタミンDを死ぬほど生成しながら絶望していた。吸血鬼でなくとも灰になるほどである。

 全身の皮膚が焼けただれてベロンベロンに融けてしまう。眼球や舌先の水分が蒸発する。血液が沸騰して、全身の毛穴から血泡が噴き出した。

 こんなのどうしろというのだ。

 かわすには太陽は巨大すぎて逃げている間に潰されるだろうし、だからといって背負うには荷が重すぎる。インフレーションもいいところだ。高度な知能なんていらず、わずかな本能さえあれば自然と理解できる。


 勝てるわけがにゃいじゃないか。

 星ですらない、ちっぽけにゃ、このオレでは。


 だいたい黒星卿も次から次へと不可思議な必殺技を繰り出しやがって。

 惑星を一刀両断にする刀なんてチート以外の何ものでもないじゃないか。

 ふざけるのも大概にしろよ、もう。

 ずるすぎる。


 ニャンレオはもうほとんど諦めていた。

 たったひとりの生命が星に勝負を挑むこと自体がおこがましかったのだ。

 生物は星には勝てっこない。

 それは宇宙の普遍的なルールなのだ。

 だって所詮はオレも星なしでは生きられない存在なのだから星を壊せてしまったら宇宙のバランスが崩れてしまう。

 ニャンレオは金魚のフンであり獅子のダニだった。

 別に卑下しているわけでもなく厳然とした事実だ。

 太陽学校の星徒たちはみんなやさしいから言わなかっただけだ。

 星とスターモンでは格も次元も何もかも違う。

 星と生物では生きている世界が違う。

 こうしてまだニャンレオが生きているのでさえ奇跡なのだ。

 太陽を受け止めて空色の体毛が焼け焦げて抜け落ちるさなか、ニャンレオは今まさに奇跡を体験していた。しかしその奇跡は水切りの石のような一瞬のものでしかなく、次の瞬間には水底に沈んでいってしまう。限界などとうに超えていた。

 そしてついに七色に燃える輪廻転生蝶の翅が黒太陽の熱に飲み込まれた。

 この戦いでオレは死ぬだろう。

 しかしなぜだろうか。

 どこか懐かしい気持ちがした。

 死ぬというのは生まれるときの原体験にもっとも近しいものなのかもしれない。

 死ぬから生まれて、生まれるから死ぬ。

 そんな当たり前のことを理解したときにニャンレオは死を受け入れた。

 おそらくウサボンもそういうことが言いたかったのだろう。


 草那藝之大刀は黒太陽表面のコロナを切り裂き、内部の光球に食い込み始めていた。噴き上がるプロミネンスをものともせずに大刀は対流層を抜けて放射層に達する。ついには黒太陽核を打ち砕いた。黒太陽はパックリと割れ、核融合が中断されて暗くなるとその間から草那藝之大刀が刀身をのぞかせてニャンレオにせまる。

 鎧袖一触がいしゅういっしょく

 シンプルかつ圧倒的な力を前にニャンレオはなすすべもない。

 世界の終わりだ。

 黒星卿は惜別せきべつの言葉を贈る。


堕散おちれ、蚊虻ぶんぼう


 ニャンレオめがけて草那藝之大刀の刃が目前に肉薄して勝負は決まったかに思えた。

 しかし。

 ――その刹那、ニャンレオは横からポヨーンと突き飛ばされた。

 ニャンレオは回転しながら自分の元いた場所を見やると、そこにはいつの間にか夜夜叉が各駅停車していた。

 そして降車しているスターモンがひとり。

 簡易的なニュークヘルメットを被ったマルパンが自身の腹をポンと叩いた。


「ヒーロー参上パン☆」

「マルパン……?」


 三億年ぶりにニャンレオと再会したスターモンは全く変わっていなかった。

 あの日のまんま、白黒のまんま、である。

 そしてこのマルパンが自分に体当たりしてきたらしいとニャンレオは咄嗟に理解した。

 そんなニャンレオが呆気にとられるも極厚刃の草那藝之大刀くさなぎのつるぎは止まる気配も見せずにマルパンに迫った。


「やめろ!」


 叫ぶニャンレオに、マルパンは無言で柔和な笑みを返した。

 その次の瞬間、新・太陽系を縦断した草那藝之大刀の切っ先10㎝がマルパンのパンパンの腹部をかすめた。

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