第4星 織姫と彦星

☆1

 スパゲッティ状に引き延ばされる感覚。

 僕はパスタ蛇。

 とぐろを巻きながら、さらなる深淵へと落ちていく。


 するするする。

 ずるずるずる。


 時間、空間、次元の間隙を縫っていく。

 湯切りされるザルの編み目からにゅるっと顔をのぞかせる。

 そのまま排水口に落ちていくと、生ゴミの海と戯れた。


 強烈な悪臭。

 エントロピーの崩壊と再生。

 自発的対称性の破れ。


 パスタヘビとニャンレオゲッティは生ゴミのオバケたちに沈められる。


(息ができにゃい)


 その中でパスタヘビは何かに絡みついてみる。

 それは長方形の紙だった。

 何やら書いてある。


『今日の運勢第一位:しし座!

 赤い糸で結ばれた運命の星と出会っちゃうかもかも!?

 ラッキーアイテムは「ニャオニャオ」と鳴くスターモンだよ!』


(にゃんだこれ?)


 すると今度は、生ゴミの底に赤黒い発光体が見える。

 パスタヘビは長方形の紙をかなぐり捨ててから潜ると、排水管ワームホールを通り抜ける。

 パスタとスパゲッティは二重螺旋状にもつれ合いながら、ひとつの手となり、それを求めた。

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