ユウくんのヒ・ミ・ツ①

 先月、お母さんと一緒に買い物に行ったときのこと。

 同級生くらいの年頃の、とても可愛い女の子に遭遇した。私はファッションに疎いから、よく分からないけれど、なんか、こう……女の子らしくて、可愛いのだ。

 ……いや、違う。

 よくよく見ると、違った。


 『同級生くらいの年頃の、とても可愛い女の子』ではなかった。

 『同級生の、とても可愛い男の子』だった。


 彼女は――いや、彼は、クラスメイトのユウくんだったのだ。


「ち、違うんだ! その、違う――なんていうか……違うんだ!」


 何が「違う」のか、よく分からなかったけれど、彼は焦っているようだった。

 どうしたのだろう。

 お手洗いにでも行きたいのかな?


 私は、ひとまず彼を落ち着かせようと、「その髪留めとスカート、とても似合っているよ」と伝えた。

 すると彼は、顔を真っ赤にして、どこかへ走り去ってしまった。

 ……何か、怒らせてしまっただろうか。気に障るようなことでも、言っちゃったかな。

 彼の行動は、たまによく分からないときがある。

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