腕輪
解放された牛河さんは、お風呂を借りる事となった。
正直、拘束を解いていいのか分からないが、ミサキさんが「いいんじゃない?」と言うので、ボクは彼女を解放した。
牛河さんがシャワーを浴びている間、ボクはリビングにミサキさんと二人きり。
「はい。これ、つけておいて」
「なんです、これ?」
一度、部屋に行き、戻ってきたミサキさんは手に何かを持っていた。
差し出されたのは、腕輪。
太めのベルトで、内側には金属板が仕込まれていた。
「つけて」
言われるがままに腕にハメると、「テストね」と、ミサキさんが何やらリモコンを取り出し、スイッチを押す。
――バチンっ。
「い、った!」
腕の中から破裂音が聞こえ、腕を通して肩にまで電流が走った。
いきなりのことで、びっくりしたボクは思わず腕輪を外そうとする。
「ちょっと。外さないでよ」
「だって、これ、電気が流れるじゃないですか」
「水野くんのために買ったのよ。それ海外でしか売ってないから。パパに頼んで送ってもらったの」
海外って、……なんか、危険な香りしかしない。
クラスメートにも、海外旅行や出張で親が仕事で行っている、という人はいる。小耳に挟んだ程度だが、聞くところによると、変な土産を買ってくることが多いようだ。
「何のために?」
「あいつが暴れたら、あたし水野くんをイジメ抜くから」
「……ど、どうして、ボクを」
口角を吊り上げ、ミサキさんは笑う。
「あいつ、……水野くんが大事みたいだし」
邪悪な笑みだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます