イジメる楽しさ

 目の前で、ミサキさんがニヤニヤとしていた。

 箱のふちに腕を乗せて、ボクの顔を覗き込んでいた。


「変態二人にはお似合いよねぇ」

「う、ぐぅ」


 ボクはひたすら噛まれていた。

 敏感な所に歯が当たり、何度も甘噛みされては頬ずりをされる。


「あの、そろそろ、出たいんですけど」

「駄目よ」

「いや、でも、……怖いっていうか」


 何も見えないところで甘噛みされるのは、はっきり言って恐怖でしかなかった。牛河さんの歯は、唾液で湿っていて、生温かく、ざらついた感触。


 息を止めてジッとしていると、サラサラとした髪の毛が太ももに当たった。


「あの、牛河さん。もう、いいですよ」

「……やら」

「くっ」


 すると、ミサキさんが腹を抱えて笑った。


「あっはっは! ば~っかみたい」


 箱の中からは水音が聞こえてきた。

 音が大きくなると、腰が震えてしまい、前のめりになってしまう。

 頭を下げると、目の前にはミサキさんの顔がある。


 さぞ楽しげに笑みを浮かべ、目を覗き込んできた。


「……気持ちいい?」

「や、怖いというか、ちょっと痛いというか」


 ミサキさんと話していると、牛河さんが歯を立ててきた。


「い、っつ」

「嫉妬深いのねぇ」


 甘噛みした後は、なめくじの這うような感触があった。

 見えないところでイジメられている感触は奇妙で、頭がどんどん真っ白に染まっていく。


「……う……うぅ」


 刺激が強くなってくると、ボクはミサキさんの肩を掴み、歯を食いしばった。腰が何度か跳ねてしまい、息が詰まる。


「変態」


 耳元で囁いた後、ミサキさんは頬にそっとキスをしてきた。

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