9固有魔法
「そろそろ限界じゃないか?人間」
「はっはぁはぁ、まだいけるけどぉ?」
おにーさんと別れて、10分くらい経つかな。魔力も体力もキツくなってきたし、ほんとにやばいかも・・・
「私は全然ヨユーだけど、魔族はもうギブなのかな?」
挑発しつつ、少しでも時間を稼ぐ。おにーさん、もしくはギルドからの救援が来るまでなんとしても持ちこなえなきゃ。
「ふむ、なかなかにいい根性じゃないか。ではこれはどう避ける?」
炎・氷・風の3つの魔法が同時に打ち込まれる。
そして大爆発が起こる。
「やはり速いな。しかし底が見えたな。動きが最初より遅くなってるぞ?」
「はぁはぁはぁ・・・・気のせいじゃないかな・・・」
「では、これならどうする?」
炎・氷・風・土・水の5つの魔法が展開された。
「これは・・・ちょっと・・・」
避けるための空間が無いくらい高密度の魔法。
「死ね。」
打ち込まれる。
避ける避ける避ける避ける。
「よけ、き」
4つは避けれたが残り1つが避けきれない。
あ、当たる。
「危ねぇ!ギリ間に合ったぁ!!」
◇
アリアのところに急がなければ!
「風魔法で移動も早くできるか・・・?」
魔力を足に集中。
スキルの俊敏+風魔法
移動スピードが上がる。ただ魔力はあまり使わないようにする。
「はぁはぁはぁ!!」
急ぐ急ぐ急ぐ。森の中を疾走する。
「多分こっちだと思うんだが」
アリアが向かった方に走る。
「いた!ってやべぇ!!!」
見つけた。が、めっちゃでかい魔法を打ち込まれる瞬間だった。
気づけば走りだしていた。魔法が直撃しそうになるアリアに飛びつくように横から突っ込む。
「危ねぇ!ギリ間に合ったぁ!!」
危な!ほんとにギリだった!肩ちょっと焦げてるし!
「おにーさん」
お姫様抱っこの形で助けたアリアがこちらを見る。
「大丈夫か。ギリ間に合ったわ」
「・・・出来たの?」
「あぁ。でも魔族に通じるかわからない。」
ゆっくりアリアを下ろしながら話す。
「またお前か男。殺されるために戻って来たのか?」
魔族が近づく。
「そのSランクが先ほどから何か気にしているようだったが、まさかお前とはな。」
「俺で悪かったな。」
ビビるな俺。強気だ強気。
「で、本当に何しに来たのだ?」
「なんでだと思う?」
「ふむ。まさか戦いに来たのか?お前のような弱いものが。仲間を引き連れてならともかく、1人で。」
「そのまさかかな」
「お前に何が出来るのだ。つくづく分からん生き物だな人間は。弱いのだから隠れてればいいものを。数ばかり増えおって忌々しい!」
めっちゃ言うなおい。
「あまり人間を舐めるなよ?」
ここで倒す。覚悟の言葉だ。
「ふん。そんな言葉は私に勝ってから言うんだな。」
「なぁに、死んでからじゃ聞けないだろ?」
「・・・いい度胸じゃないか。楽に死ねると思うなよ。」
や、やべぇ、調子乗りすぎたぁ!でもやるしかないだろ!
「アリア、1分時間稼げるか?」
「人使いが荒いなー。でもやってみるよ。あんな啖呵切ったんだからかっこよく決めてね!」
「い、いや、なんか調子乗りすぎたかも・・・。ともかく、これポーション。少しでも回復してくれ。」
「ありがと」
ポーションを渡す。
「お別れの挨拶は終わったか?」
魔族が魔法を展開する。
「万雷」
アリアも魔法を発動する。
「頼んだアリア。」
「頼まれたよおにーさん。」
魔族に向かっていくアリア。魔法を全て斬っている。すげぇ・・・
「ふーー・・・集中・・・」
俺も魔法に集中する。
空気に魔力を流し、操る。目の前に空気を集め凝縮し圧力を加えていく。淡く光だし、パチパチと音がする。さらに多くの空気を集めていく。
このくらいか。バチバチと音がし、かなりの熱を発している。
「よし・・・あとは刀に乗せる。」
ゆっくりと。乗せる。
「エンチャント完成だ。」
淡く紫色に発光し、プラズマを帯びた刀を構える。
「アリアぁ!」
叫ぶように呼ぶ。
「何それ!?雷!?どうやったの!?」
横に移動してきたアリアが驚く。
「まぁ雷かなぁちなみに雷魔法ではない。詳しい説明は後で。攻撃を当てたい、援護を頼む。」
「りょーかい。」
魔族に向かい合う。
「なんだその剣は?魔法を帯びてるようだが。」
魔族も分からないか。
なら大きく出るか。
「ただの魔法じゃないさ。」
「何?」
「
固有魔法なんてあるか知らんがな。
「ブラフか?いや、それにしてはかなりのエネルギーを感じるな。」
「くらってみたいだろ?」
「嘘でも本当でもどちらでもいい。当たらなければどうと言うことはない。」
「まぁそう言うなよ。」
ふー・・・覚悟を決めろ。
「行くぞ、魔族。殺してやるよ」
走り出す!
「やってみろ人間」
複数の魔法が俺に向かって展開される。
「私も忘れないで!!」
「アリア頼む!」
展開された魔法を斬って行くアリア。
「チッ」
残りの魔力を足に集中でさせ加速する。アリアのスピードには及ばないだろうが十分速いはずだ。
「あともーちょい!!」
後少し!
「届くかな?」
あ!まじか!空に逃げやがった!
風を使ったジャンプなら届くかもしれないが、もう魔力がない!
「アリアー!落としてくれー!」
「絶対決めてよ!?」
魔族に向かって飛ぶアリア。
「空中でどう避ける?」
アリアに向かって2方向から魔法が撃たれる。
「
「な、なに・・・?」
空中で魔法を使ったのか!?
アリアは魔法を1つ斬り、もう1つが当たる瞬間に空を駆けた。
魔族の上を取った!
「この魔法使うと、ちょっとだけ空中でジャンプできるんだ。ただ魔力消費が大きくてあんまり使わないけど、ね!!!」
「ぐっっ!」
魔族の頭に踵落としをくらわす!
「絶対決めてよー!」
俺の間合いに落ちてくる。
「あぁ。」
「ふざけるな人間んんんん!!!」
俺と魔族の間に防御結界のようなものが張られる。少なくとも10はあるか。さらに魔族も魔力で自身を固める。
決めるぞ。
「
キンッ
「風神ノ刃」
全ての結界、そして魔族本体をも簡単に両断した。
「ふう・・・・」
納刀。
「すげぇー威力と切れ味だな。」
どっと疲れが来たのか大の字に倒れる。
横になりながら魔族を見る。
「くそくそくそぉ人間如きにぃ!」
半分になってもまだ死なないのか。だが、少しずつ体が崩れているな。消えるのも時間の問題だろう。
するとアリアが魔族に近づく。
「これが人間の力だよ。私をさっさと殺してればこんなことにならなかったのにね。敗因は私相手に遊びすぎたことかな。」
「くそがあああああああああ・・・」
完全に崩れた。
これで本当に終わったか。
「おにーーーさーーん!!!」
「ぶベェ!?」
横になっていた俺に抱きついてくるアリア。
「すごいよぉ!なにあの魔法!?すごいすごい!!」
完全に胸が俺の顔に当たっている。ご褒美か。
「落ち着いて。とりあえず救援待とう。」
「うんうん!!」
全然離れないアリア。
その頭を撫でる。
「えーどーしたの?」
「いや、なんとなく」
「あはは、何それー!」
あぁ、守れてよかったなぁ。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます