第77話 再集合
紗月はケガで入院し、先輩は表向きでは身柄確保と言いつつ、重要施設で守ってもらっていたみたい。
姉さんに案内されてある病院に着くと、手続きをして、地下に向かう。
どうやら普段から地下は公開されていなくて秘密にするように契約書まで書かされた。
病院の地下はかなり広く、宿舎と呼ばれるプレハブ小屋が建てられていて、一人一室もらえるそうだ。
僕と姉さんは小屋が並んだ一角の小屋でノックをして中に入った。
「誠也くん!」
「少年!」
入ってすぐに二人は同時に僕に抱き付いてきた。
「あはは……心配かけたみたいでごめん」
「事情は聞いていたから大丈夫! それに国会議事堂もいろいろあったみたいだね?」
「ああ。これからその話もしなきゃと思ってたよ」
それから姉さんに起きたこと、紗月や先輩に起きたこと、僕がに起きたことを順番に話した。
「これから
「ダンジョンに?」
紗月が不思議そうに首をかしげて、先輩は目を輝かせた。
「おじいちゃんが作ってくれた装備なんだけど……残念ながら僕が持っていた経験値だけでは最大にできなかったんだ。まだ経験値が足りなくて、
「わかった。うちの両親からも必要なものがあったら何でも言ってくれって言われてるから、何でも言ってね?」
「ありがとう。なら、そっちはおじいちゃんと繋いでもらって、おじいちゃんの必要な素材を提供してもらおう」
「それは私の方から伝えておくね」
電話連絡のために席を外す紗月。
「姉さん? 姉さんはこれからどうする?」
「どうって?」
「ほら、セグレスは引退宣言しちゃったじゃん?」
「もちろん、
「そっか。わかった」
姉さんがそう決めたのなら僕は応援してあげたい。セグレスではなく、
先輩は…………うん。聞かなくてもいいか。
鼻息を荒げながら「志鎌先輩め……次はボコボコにしてやるんだから!」と意気込んでいた。
紗月の連絡も無事終わり、退院手続きをして、僕達は真っすぐダンジョンにやってきた。
久しぶりに入るのは日本ダンジョンの四十七層。
現在日本ダンジョンの最高層であり、非常に強力な魔物が現れる。
フロアボスを除けば、計四種の魔物は、どれも下層ならフロアボス級である。
「少年? 鎧姿が少し変わったね? 何だかかっこいいよ?」
「そういえば自分の姿は見てなかったんですけど、そんなに変わりました?」
「うん。何だかより禍々しくなって、魔王様みたい?」
魔王様……。
一緒に見ていた紗月も大きく頷きながら話す。
「うんうん。以前よりも凛々しくて、すごくかっこいいよ。
「あはは……ありがとう。ではここからはできるだけ攻略を意識しよう」
「「「お~」」」
最近はずっと下層のフロアボスばかり倒していたから、何だか新鮮だ。
「先行は
「「「りょうかい!」」」
「ワン!」
そして、僕達は四十七層に飛び込んだ。
最初に現れた魔物は、四つ足の巨大な化け物顔の魔物で、全長四メートルくらいはありそうだ。
シリウスが勇敢に先陣を切り、魔法や爪攻撃で相手の注意を引く。
すぐに矢が魔物の急所と思われる場所に刺さり、先輩の魔法がさく裂して大きく体勢を崩した。
それから何度も魔法を放つが、非常にタフで一向に倒れる気配がない。
「四十七層は、一段階目からすでに強いね……!」
「魔法~! ひゃっは~!」
紗月と先輩の反応が対照的で苦笑いがこぼれてしまう。
そろそろ僕も加勢する。
魔物の足部分に飛び蹴りを放つ。
衝撃波とともに巨体が力なく倒れ込む。
僕は地面に着地することなく、空中を蹴り上げて空高く飛び上がり、そのまま倒れた魔物の腹部にかかと落としを叩き込む。
周囲十メートルの地面から土埃が飛び散ると同時に、魔物が粒子となり消え去った。
「これが……
「さあ、どんどん倒しに行こう!」
今は少しでも経験値が欲しい。
おじいちゃんが作ってくれた――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます