第60話 最上位探索者
※コードネーム覚えるの大変(私自身も)なので、毎回ルビを付けておきます!※
日本ダンジョン四十五層。
最上位探索者の証というのは、四十五層に入ったことがあるかないかとなる。
上層が開放されていても、四十四層の最奥の魔物を一定数倒すのは難しく、中にはいくつかのパーティーで連携して四十五層に入る者も多い。
ではそういう人達がみんな自分を【最上位探索者】と名乗るのかというと、誰一人名乗らないという。なぜなら、四十五層の魔物を目にして、自分の背丈に合う階層に戻るからだ。
「以上が最上位探索者の定義になるよ」
姉さんの説明にみんなで拍手をする。
ダンジョン中の入口付近で黒い鎧とローブの集団が円になって拍手をするのは、きっと第三者から見たら奇妙な光景かも。
「それともう一つは、四十五層から魔物は一気に強くなるよ。通常魔物ですら低層フロアボス級の強さがあると言われてるかな!」
「そういえば、最近あまりフロアボスと戦わなくなったね」
「攻略を重視してしまったからな。ひとまず四十七層まで進んで、採集素材をおじいちゃんのところに持って行くのを目標にしよう。装備作りにも時間が掛かるだろうから、その時にフロアボスと戦いに行く感じで!」
「「「お~!」」」
俺達は四十五層の攻略を開始した。
ステージはものすごく幻想的な場所で、空は基本的に
俺達が立っている場所は、一面が荒野に似た景色をしている。不思議な黒い物質で炭とは違うけど、踏むと黒い粒子となって少し広がって消える。姉さん曰く、これを【ダークマター】と呼ぶらしい。触れることはできない。
所々に生えている枯れた黒い木々は禍々しい雰囲気をより増長させるかのようだ。
最初に現れた魔物は異型魔物だった。
大きな一つ目の球体型魔物が浮遊している。
「睨まれると身体能力がぐっと下がるから気を付けて」
「「「了解!」」」
最初に俺が飛び出して注意を引く。
魔物は俺に気付いて睨んでくる。
耳元にキューイン! と金縛りの音が聞こえて、一気に体が重くなる。
「っ……!」
見るからに動きが鈍っていく。
「――――ウィンドカッター!」
先輩の魔法が直撃すると、少し体の重さが解けた。
一気に距離を詰めて双剣を斬り付けようとした瞬間、今度は目から攻撃の気配がして避けたら、ビームのようなものを発射してきた。
すれすれに避けながら斬り付ける。
思っていたよりもずっと頑丈で、傷すら付けられない。
そのままターゲットを引いていると、姉さんの矢攻撃と紗月の刀攻撃が魔物を襲う。
頑丈だった魔物の肌は簡単に貫かれ、何度かの攻撃で倒すことができた。
「下層の大型サソリから中々タフだったけど、それがより強くなった感じだね。体力が少ないだけで下層フロアボス級なのは納得できるよ」
「うん。見た感じ、さっきの攻撃もものすごく強そう。
ダンジョン内では常に非戦闘モードは解除するので、みんなコードネームで呼び合うことにしている。
それから俺達は攻略を中心に進んだ。
二つ目のゾーンは異型の四足歩行魔物で、三メートルはある体に攻撃が全然効かなかったが、先輩の特大魔法で何とか倒す術を見出した。
「まさか……半日でゾーン二つ目を抜けるのが精一杯だとは……」
「私がいた元パーティーでは、いくつものパーティーで代わる代わる戦っていたの。だから攻略するのに二日掛けてやってたの。四十七層だとフロアボスが出現してしまうから、最奥ではなく、三つ目のゾーンで戦いながらちょいちょい四つ目のゾーンで戦ってたよ」
「なるほど……」
意外にダンジョン中に電波は届くというか、電波を飛ばせる装置があればメールや電話くらいは送れる。
大勢での移動だから、中には戦わないサポートのパーティーもいたに違いない。
「さて……少し休憩しようかといいたいところだけど、あまり休憩できる場所もないんだよね」
魔物が大きいので見えるのはいいが、常に動き回っているし、休憩しているところを襲われても困る。
「ワンワン!」
「ふふっ。
シリウスも俺達同様に黒いローブのようなものをつくって着せている。装備ではないが、先輩特製の衣服である。
餌も基本的に先輩があげているし、守ってくれる守護神なのもあって、先輩とシリウスはものすごく仲がいい。
俺達が骨休みを取っていると、シリウスが凛々しい表情で周りを警戒してくれた。
何とか骨休みを取りながら、念のため事前に作っておいたサンドイッチを頬張る。午後から攻略を再開し、夕方には四十五層の攻略を何とか終えることができた。
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