第50話 急成長
今日は姉さんの【漆黒のローブ】に経験値を四十万付与して、レベルを1から5に上昇させた。そこで獲得するのは【隠密】というスキルだ。
「どう? 姉さん」
「ん~変わった感じはしないし、新しいスキルという感じもしないかな? アクティブスキルというよりはパッシブスキルの感じがするよ?」
「そっか、なら今日のダンジョンで試してみよう」
【非戦闘モード(遠隔)】なら、僕が装備しなくてもレベルを上げられることが分かった。一々姉さん達に脱いでもらわなくても大丈夫だし、これなら僕が装備できない装備も遠隔で強化できるのが分かった。いつか使えたら使いたいと思う。
いつものように先輩と迎えに行ってからダンジョンの前で紗月と合流した。
スキルの件を伝えて、十一層ではなく、先に十層にやってきた。
近くに魔物を見つけて姉さんが近づいて行った。
「すごい……! あんなに至近距離なのに、魔物に見つけられないなんて!」
「本当にすごいな。これなら一撃で倒せるならひたすら魔物を倒すこともできそうだ」
「ふふっ。誠也くんってすっかり戦い思考になってきたね」
「魔法はどうなるのかな!?」
「もし魔法でも攻撃されないなら……先輩はそれだけで敵陣のど真ん中で魔法を放つことができる……それだともう前衛なんていらなくなさそうですね」
先輩の表情が驚きに変わって、僕の下にやってきた。
「少年! 私を捨てないで! もしそうなっても私には少年が必要なんだ!」
「う、うわあ!? 冗談ですから!」
「ほんとぉ……? 私を捨てない……?」
「捨てません! てか妙な言い方すると誤解されますから!」
言わんこっちゃない……二人からすごい視線で睨まれた。
「さあ、先輩落ち着いて、姉さんは次の試してみてよ!」
「むぅ……あ~い」
不満そうに、弓を取り出して構えた。ここではまた魔物は姉さんを敵だと認識していない。
近くの魔物を放置して、遠くの魔物に向かって矢を放った。
それと同時に近くの魔物が姉さんに反応して攻撃を始めた。
現状から【隠密】というスキルは攻撃をすると標的にされるが、攻撃行動さえ取らなければ標的にされないんだな。しかも弓を引いている時は反応しなかったので、先輩の魔法詠唱中にも敵意が向かないのなら、使い道はかなり多そうだ。
「みんな、そろそろ十一層に移動して階層を上げるよ~!」
「「「は~い!」」」
何もなかったかのように十一層に入って狩りを開始した。
金曜日の本日午前中に十一層を突破。昼をして午後から十二層を突破。
土曜日も狩りを続けて十四層突破。
日曜日は程よくみんなで休みにして、ショッピングなどで色々遊んだ。
また月曜日が始まり、学校で出席チェックを行う。
生徒達から最強探索者セグレスの休止が話題になっていた。
月曜日と火曜日、水曜日の午前中で十九層が攻略を終えて、二十層に入る時がやってきた。
「…………もう二十層……早いわね……」
「はい。早すぎます。先週まで十層だったような……?」
「まだ一週間も経ってないわね」
「ですね…………私、一年も通ってて二十層に入れなかったんですよね……」
「大丈夫。私もこんな最短で二十層に入った人、見たことないわ……」
経験値は今日まで約五百万が貯まったので、みんなの防具をレベル15まで上げた。
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【上級の漆黒のローブLv.15】
カテゴリー:鎧
レアリティ:Sランク
防御力+500、俊敏+150
ダメージ無効化30%、同化、隠密
腕力+1000
Lv1:同化
Lv5:隠密
Lv10:防御力+300
Lv15:腕力+1000
Lv20:俊敏+1350
Lv25:ダメージ無効化15%
Lv30:身体能力+100
Lv35:暗殺格闘術
Lv40:超再生
Lv45:ダメージ無効化15%
Lv50:防御無視40%
Lv55:残像
Lv60:身体能力+100
Lv65:ダメージ無効化20%
Lv70:影移動
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まだみんなのレベルを70に上げるには、経験値千七百万は必要になるが、十九層ですら半日で百万近く手に入るので、十日もすればみんなの装備を最大にしてあげられそうだ。
「姉さん~先輩~行くよ~?」
どこか遠くを見ていた二人を呼ぶと、何故か肩を落としてやってきた。
もしかして……強行軍で疲れたのかな? たしかに、十層はまだ良かったけど、十一層から魔物が群れたり、色々手ごわい攻撃を仕掛けたりと大変だった。
それでも先輩は楽しそうにしていたし、姉さんも意外と楽しそうにしていたのに……?
みんな集まったので、二十層に飛んだ。
二十層は湿地ステージで、ステージ全体に深い霧がかかっている。
視界が非常に見づらいのと、霧の向こうから魔物の攻撃があるので十六層からの湿地ステージは中級者の大きな壁と言われている。
二十層を抜けた者は探索者として上級者と呼ばれ、大きな収入が見込めると姉さんが言っていた。
姉さんの収入を考えても、二十一層からの収入が十分大きいことは理解できる。
「シリウス。いつものお願いできるか?」
「ワフッ!」
シリウスの周りに風魔法が展開されて、「ワオ~ン~!」という声と共に広がり始める。
風はシリウスを中心に渦巻いて霧を全て晴らしてくれた。
「やっぱりうちのシリウスくんはすごいね~!」
紗月に撫でられて気持ちよさそうな表情を浮かべる。
僕も初めて知ったことなんだけど、実はシリウスは食事を取らなくても全く問題ないらしい。魔物が落とす核をご飯にしてるシリウスだが、それが意味するのは、食事のためではなく、シリウスの
だからといって無限に食べられるわけではなく、核がご飯のようになって一日食べられる量が決まっているらしく、より強い魔物の核を与えることで短期間で成長させられるという。
シリウスにはマイペースに成長してほしいから、毎日取れた核で腹いっぱいにあげているだけで、わざと買取センターから強い魔物の核を購入したりはしていない。
それでもシリウスも毎日めきめきと成長してくれて、今使ってる魔法も一日中使っても疲れないようだ。
「うちの守護神だもんね~」
先輩も紗月と一緒にシリウスを撫でてあげた。
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