第42話 キングシーサーペント戦
ダンジョン近くのファーストフード店で昼食を取って、再度ダンジョン十層に潜る。
入ろうと思えば十一層にも入れるけど、せっかくならフロアボスと戦ってみたい。
足早に最奥に向かい、シーサーペントを狩り始める。
先輩の杖に経験値八万を使ってレベルを0から20まで上昇させておいた。
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【マジックワンドLv.1】
カテゴリー:武器
レアリティ:Cランク
攻撃力+10、魔力+200
Lv1:魔力+100
Lv5:魔力+150
Lv10:魔法クールタイム軽減10%
Lv15:俊敏+100
Lv20:魔法貫通10%
Lv25:魔法範囲強化・弱
Lv30:魔法ストック(1)
Lv35:魔力+200
Lv40:ダブルスペル10%
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レベルなしだと【魔力+100】の杖なのだが、レベル20にするだけで【魔力+350】に上昇し、【俊敏+100】も先輩にとっては大きいはずだ。
さらに魔法のクールタイム軽減や魔法貫通とやらも付いている。
「先輩。杖を少し強くしておきましたから、キングシーサーペント戦前に最終強化しますからね」
「何だかすごく戦いやすくなったなと思ったら、少年が強くしてくれたんだ……! ありがとう~少年!」
「うわあっ!?」
抱き着いてきた先輩に思わず声を上げてしまった。
「へぇ……嬉しそうだね」
「ち、違う!」
嬉しくないわけではないが、突然のことで僕も驚いている。
先輩っていつも無邪気に抱き着いてくるから困る。まるで姉さんのようだ。
「せ、先輩? 戦いますよ~?」
「うん!? そうだった! うひひひ~」
やっと離れてくれた先輩に安堵の息を吐いていると、後ろから温もりが伝わってきた。
「!?」
「ちょ、ちょっとだけ……」
まさか紗月に抱きつかれるとは思わず、全身が固まってしまった。
こう、先輩は可愛い妹みたいな感じだけど、紗月の分は頭が真っ白になるくらいだった。
心臓の爆音と全身が熱くなるのを感じてしまう。
「さ、さあ! 行くわよ!」
紗月も少し顔を赤らめて足早にシーサーペントゾーンに入った。
半日ほどシーサーペントを倒し続けて、貯まった経験値で先輩の杖を最大まで強化してあげる。
「先輩。【魔法ストック】というスキルと【ダブルスペル】が10%で発動するようになるみたいです」
「おぉ! どちらも魔法使いにとっては重要なスキルだよ~!」
「それと魔法の範囲が少し増えてます」
「分かった~!」
さっそく魔法を使った先輩は、ダブルスペルが発動してもう一発の魔法が自動発射される。
「うひょ~! ダブルスペルだぁ~! うひひひ~!」
まあ、喜んでくれるならいいかな。
経験値を貯めて二人の装備も強化していけば、攻略も楽になりそうだ。
その時、奥に巨大なシーサーペントが現れる。
「キングシーサーペントだぁ~!」
先輩は今すぐにでも跳び込みたいと言わんばかりに、その場でぴょんぴょんと飛び跳ねた。見た目も相まってすごく可愛い。
「紗月。フロアボスと戦おう」
「分かった!」
「うひひひ~!」
キングシーサーペント戦が始まった。
近くまで来るとその大きさに驚く。
太さはそこまではないが、高さは十メートルを超えていて、高いビルにも匹敵する。
挑発に惹きつけられたキングシーサーペントの攻撃が始まった。
一気に裏に向かって走って紗月と先輩が攻撃に巻き込まれないようにする。
以前手に入れたスキル【ボス特攻】のおかげなのか、僕の攻撃が今までよりも強くダメージを与えている気がする。
さらにスキル【武神】も相まって、僕の一撃一撃でキングシーサーペントの全身が揺れ動く。
後方では先輩の魔法と紗月の斬撃、シリウスの攻撃が続いている。
以前見えていたターゲットマークは見えないが、このままではそう難しくなさそう?
その時、ひれ部分に白いターゲットマークが見えたので、一気に近づいて蹴り飛ばすと、ひれが吹き飛んで、キングシーサーペントが全身を痙攣させて、その場に倒れ込んだ。
僕達は緩めることなく攻撃を続ける。
一分もしないうちに頭部に赤いターゲットマークが見えた。
巨体の上を走り込んで、高く跳び上がり、赤いターゲットマークが見える頭部にかかと落としで攻撃すると、強烈な打撃音と共にキングシーサーペントの姿が粒子となり消え去った。
「は、速い……?」
紗月がポカーンとした表情で驚いた。
「うひょ~! 気持ちいいよ~!」
先輩は子供のようにはしゃいだ。
キングシーサーペントが倒れた跡には、銀色に光っている盾が刺さっていた。
「レアドロップ! やっぱり少年って運がいいみたいだな~」
前回キングワーウルフを倒した時はシリウスがドロップしたし、その前もレアドロップしていたからな。
やっぱり運の数値がだいぶ増えているからのようだ。
「真珠の盾。これもすごくレアなんだよ~? 誠也くん」
「ああ……フロアボスのドロップ品自体がそうとうレアなんだよな」
「そうだね。それにしてもキングシーサーペントがこんなにもあっさり倒れるなんて、ちょっと驚いてしまったよ」
「先輩の魔法が強いからね」
「う~ん。でも誠也くんの攻撃でヒレが吹き飛んだりしてたから…………何かすごく強くなったように見えるよ?」
「一応新しいスキルを獲得したからかな……?」
「そっか……誠也くんってどんどん強くなるね」
笑顔でそう言ってくれる紗月。でも僕にはその件で一つ心配がある。
僕の力はどうしても装備に依存してしまう。
装備のレベルが上がれば、強くなるのは分かっているけど、そこにも限界がある。ダークフルメイルだってレベル60で限界を迎えている。
紗月達にもレベル成長限界というのはあるけど、彼女達がレベル80を超えた頃、僕はそれに追いつくことができるか心配だ。
そんな不安を思いながら、新しい盾を手にして僕達は十層を後にした。
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