第29話 双剣の練習と強化
入学して三週間が経過し、三度目の週末がやってきた。
紗月ともパーティーを組んで十日も経った。
「お待たせ~」
ダンジョン前のベンチに座って待っていると、紗月が足早にやってきた。
今日も変わらない制服姿で、笑みを浮かべている。
朝日のおかげなのか、彼女の笑みがより輝いて見えるようだ。
それともう一つ気になるのは、紗月の髪の色が黒から薄い水色に変わり始めた。
これは姉さんが高校一年生の時と同じ現象だ。
元々黒髪だった姉さんだが、ダンジョンに通うようになり、レベルが上がることでどんどん強くなって、少しずつ赤髪に変わっていき、今の深紅色の髪になった。
紗月もレベル成長限界値はとても高いので、姉さんと似た強さを秘めているのかも。
ちなみに髪の色は姉さんと紗月が話し合っていた。
「今日もよろしくな」
「うん!」
今日は三層ではなく、四層に入った。
四層もそう景色が変わるものではなかったが、今までの層よりも森が多い。
今までなら森ではない平原を通ることもできたが、四層では必ず森の中に入らないと進められなさそうだ。
森は木々が視界を遮るので、非常に戦いにくい地形だ。
「森は気を付けながら進めよう」
紗月と平原を進み、森の中に入った。
初めて見る魔物ばかりだったが、どれも難なく倒すことができて、最奥では槍を持ったオークが現れた。
オークランサーは今までの魔物と違って、槍での離れた距離で攻撃を繰り出せるので、非常に厄介な魔物だった。
ただ、それでもダークフルメイルで全て無効にして倒した。
「経験値が貯まったから双剣を使ってみるよ」
「楽しみ~!」
《装備【スチール双剣】が【スチール双剣Lv.1】に進化しました。》
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【スチール双剣Lv.1】
カテゴリー:武器
レアリティ:Dランク
攻撃力+200
Lv1:攻撃力+100
Lv3:攻撃力+150
Lv7:腕力+70
Lv10:俊敏+150
Lv15:身体能力+10
Lv20:剛撃
Lv25:攻撃力+200
Lv30:身体能力+20
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Dランクなのでレベルを上げるのに必要な経験値は1,000だ。Aランクに比べたら破格なポイントなので、最大に上げても良さそうだ。
ひとまずレベルが1のままだと、【木刀Lv.10】より弱いが、レベル3からは双剣の方に軍配が上がる。
「わあ~! 黒い鎧に白い双剣。凄く似合うよ~木剣はそれはそれで面白かったけどね」
「木剣は木剣で使い道が多いから、場合によっては木剣を使うよ。ひとまず双剣を使ってみたいかな」
「刀がいいなら私の刀を使っていいよ?」
「そうだな。双剣に慣れたら次は刀も練習してみるか」
「いつでも言ってね~」
いまはせっかく持った双剣を先に練習する。
相手はオークランサーで、ダークフルメイルのおかげで攻撃も全部防げるし、挑発のおかげで僕にターゲットが向いているのもいい。
紗月には少しの間見守ってもらい、僕は初めての双剣でオークランサーを斬りつけた。
木剣の時はどちらかというと、剣という武器ではなく、打撃武器の感覚だったが、双剣になることで、肉を
右手と左手のそれぞれの剣は意外にも操作感が悪い。というのも手を前に出した時、斬った側の反対手を切ってしまいそうになるからだ。
剣は極力外側に向けてみる。斬るよりも突くを意識しながら、斬る際には二本を同時に同じ方向を斬ることで何とか自分の手を切らずに済みそうだ。
「ちゃんと使えるようになったね~」
「ああ。紗月の動きを思い返したんだ」
「私の動き?」
「紗月が戦っている時、長い刀で自分の足や体を傷つけないように、刃を常に意識して外に向けているのを思い出したんだ。双剣だから両手別々握っているから尚更ちゃんと意識しないと、自分で自分を斬りつけてしまいそうだから」
「ふふっ。剣の一番の弱点は、意外に自分に当たってしまうことだからね。それを知らなくても感じられたってことは、誠也くんは凄くセンスがいいんだね」
紗月にそう言われると少し自信に繋がる。彼女の実力は隣で見てきて一番知っているつもりだからな。
それからは少し離れてオークランサーを狩り続ける。
一体で経験値20を獲得できるので、双剣のレベルを上げるのに五十体くらいでサクサクと上げられる。
それが紗月と一緒なら手に入る経験値は倍の効率を誇る。
残り時間目一杯オークランサーを狩り続けて、【スチール双剣】のレベルを10まで上げて一度外に出て、家に戻り昼食を取った。
少し休憩をして本日二度目のダンジョンに向かい、同じやり方で【スチール双剣】のレベルを20まで上げた。
20で付く【剛撃】というのは、武器を両手に握って攻撃した時、通常よりも強くなる効果を持つ。
双剣の場合、両手で同じモーションで双剣で斬ることで発動するのだが、これの良いところは、通常よりも剛撃になりより強くなるということ。
一本の攻撃力が350に対して、双剣になるので700となり、それが剛撃によりさらに上昇し、1050にも及ぶ。
もちろん同じ方向に斬りつける必要があるので、そのデメリットはあるが、十分戦闘中に使える範囲だ。
剛撃を意識しながら戦い続けて土曜日が終わりを迎えた。
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