第9話 Aランク装備品強化

 困った…………まさかドロップ品が落ちるとは思わなかった。


 巨大な大盾。


 腕力が+60されて、合計61になったおかげか、軽々と持てるので装備できる。


 だが…………これではあまりにも目立つ。


 だからと言って、ドロップ品を捨てるなんて、探索者として一番やりたくない事だ。


 そもそも俺の両腕には超高額腕輪が嵌められている。知る人が見れば、簡単に分かるはずだ。


 まぁ……いいか。お金持ちのボンボンみたいに見えるだろうから。でも実際はそうだよな……姉さんのすねかじり…………いやいや、学生は学生らしくっていつも怒られてるし、気にせず今はレベルを上げよう。


 日本ダンジョンの広さは先生曰く北海道と同じくらいの広さだということだが、姉さんから貰った雑誌にもそう書かれていた。


 一層は殆どが探索者になりたて――――つまり、高校一年生が殆どだ。


 全国に数多ある入口でも、入れば違う地域に出る。だから周囲には僕が住んでいる街と隣街くらいだが、現役高校一年生で探索者に本気を出す人じゃないと基本的に入らない。


 それに四人パーティーを組むのが前提だから、一人で潜るのは僕と水無瀬さんくらいなものだ。


 だからこそ、これだけ自由に狩りをしても誰にも会わないし。多分再来月くらいになると、一層には殆どいなくなるはず。


 このまま経験値をガンガン貯めて、装備を強化していけそうだ。




 早速、貯まった経験値で装備を強化してみる。


 《装備【宮ノ前制服】が【宮ノ前制服Lv.1】に進化しました。》


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 【宮ノ前制服Lv.1】

 カテゴリー:鎧

 レアリティ:Aランク

 防御力+200、身体能力+50

 Lv1:身体能力+50

 Lv5:ダメージ無効化5%

 Lv10:耐性+300、防御力+200

 Lv15:魔力+300

 Lv20:ノックバック耐性

 Lv25:ダメージ無効化5%

 Lv30:身軽さ40%

 Lv35:ダメージ無効化5%

 Lv40:ダメージ無効時追撃発生

 Lv45:防御力+400

 Lv50:ダメージ無効化5%

 Lv55:身体能力+50

 Lv60:ダメージ無効化10%

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 …………。


 …………。


 …………は?


 なんだこの内容? それとレアリティってものが見えるようになった。これは多分オークガードを倒した時に加護が進化したおかげだと思う。


 予想通り、それぞれの装備にはレアリティがあるんだな。


 木剣を確認してみると、Fランクだった。となると、制服はそこから五段階上ってことか。


 必要経験値の多さに納得いったけど、驚きはその内容。


 レベル1と5の内容はイマイチ分からないけど、10で上がるステータス量は驚きだ。


 基本的にレベルが上昇した時に上がるステータスは、各0~2と言われている。ランダムだという説もあったけど、近年いろんな研究データで上昇するステータスは自分のビルドに合ったものだという結論に至った。すばしっこいスキルが多い人は俊敏が上がりやすいとか。


 運はほぼ上がらないらしいので、運を抜きで、腕力と俊敏と魔力と耐性。レベル1上昇で全部2ずつ上がったとて、8しか上がらない。レベル10で80。レベル50で400だ。


 この数値はとんでもない数値で、姉さんから買っておいた【怪力の腕輪】なんて腕力30上がるだけでもとんでもない額の品物だ。


 本来腕力が上がらずに装備を持てない人が、これで装備を持てるようになる。それだけで価値は凄いのに、装備のレベルを上げるだけ・・・・・で魔力が300も上がったり、耐性が300上がったり……しまいには、身軽さ40%というあり得ない数値までいる。


 それだけじゃない。元々防御力200はかなり高い部類のはずなのに、それが800になったら、もはや服というより超合金鎧みたいな強さを誇る。


 何だか……一気に疲労感が襲う。


 もう夜になりかけてるし、一度家に戻ってゆっくり休むか。




 ――――この時、僕はまだ知らなかった。この効果の中で最もヤバいものが……まさか【身体能力】だということを。


 ◆


 次の日。


 今日はなんだか体が軽い・・・・


 朝食を食べて、せっかくだから弁当まで作ってリュックに入れて持って行く。


 リュックは装備品にはならないが、やはり荷物を運ぶのには一番便利だ。


 制服に着替えて、ダンジョンに向かった。




 ダンジョンの一層に着くと、意外にも他の生徒のパーティーがいた。


 見るからに一年生なので、上位クラスのようだ。


「そういやさ。女王様、今日も一人で入ってたぞ?」


「まじかよ……でも女王様なんだから一人で余裕だろ……」


「あの噂、本当らしいぜ。パーティー組んだ全員に無理強いを強要して、強行突破しまくって、剣を下ろした人がめちゃくちゃいるらしい」


「聞いた聞いた。女王様も絶対そういう人だよな。普段からそんな態度だし」


「違いねぇ」


 もうこれだけで彼らがどのクラスか分かった。


 確かに僕なんかよりもずっと強そうな雰囲気だ。ブルースライムには目もくれず、一瞬で倒すところとか、さすがはAクラス。将来有望株だな。


 それに……水無瀬さん。また今日も一人か……って僕も他人事ではないな。


 さて、今日も西に向かおうか。


 西に向かって走ってみる。


「は!?」


 最近間抜けな声を出し過ぎて、「は!?」しか言ってない気がする。


 というか、間抜けな声を出さざるを得ない。


 俺の走る速度…………こんな速かったっけ?


 そりゃ俊敏も装備で+50されて、合計52とかになってるが、昨日はそんな感じなかったぞ?


 …………まさか。


 ひとまず近くの森に隠れる。見られたくないから。


 周りに誰もいないことを確認して、一度深呼吸して、近くの樹木の前に立つ。


「よし、やってみるか!」


 僕はいま思いつく全ての方法で――――樹木を叩いてみた。


 パンチ、キック、横跳びからの飛び蹴り。


 色々試して分かった。


 うん。


 制服レベル1の【身体能力+50】。これだけで、姉さんみたいな動きができた。今までより数倍早く動けるし、全身を思い通りに動かせる。


 はは…………こりゃ凄いや…………。




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【ステータス】

 腕 力:61

 俊 敏:52

 魔 力:1

 耐 性:1

 運  :27


【装備】

 右 手:木剣Lv.10

    (攻撃力+100、サイズ自由変更)

    (腕力+30、俊敏+30)

    (強制ノックバック)

 左 手:オークガードの大盾

    (防御力+100、パリィ30%)

 頭 部:

 胴 体:宮ノ前制服Lv.1

    (防御力+200、身体能力+50)

 脚 部:宮ノ前制服靴

    (身軽さ10%)

 装飾品:怪力の腕輪

    (腕力+30、攻撃力+10)

 装飾品:隼の腕輪

    (俊敏+20、身軽さ10%)


【スキル】

〖装備レベル付与〗〖装備レベル剥奪〗

〖運気〗

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