第5話 装備レベル付与

 探索者カリキュラムが始まって四日目。


 初日は【開花】とダンジョン入場、二日目と三日目は本格的にブルースライムを倒し続けた。


 たまに先生が見守りに来てくれるが、ブルースライムなら問題ないと言われたので、後は一人でブルースライムを倒し続けると伝えている。


 ダンジョン入場時に出席確認を終えて、僕だけ一人、ブルースライムが多く生息している森にやってきた。


 一層は基本的に平原にはなっているが、所々に森があって、ここなら隠れて・・・色々試せるかと思う。



 さて、現在、僕が借りている木剣は攻撃力+1の最弱武器だ。


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 【木剣】

 カテゴリー:武器

 攻撃力+1

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 こちらは【武器】としてダンジョンから認められ、装着を許されている・・・・・・


 レベルを手に入れた人類には【ステータス】と共に【装備品】という概念も生まれる。


 例えば、現在着ている制服。ダンジョン産素材で作った制服は装備品として判定される。


 必ずしもダンジョン産素材で作ったものじゃないと判定されないわけでもない。中には現代技術だけで作り上げた武器もしっかり装備品として判定される。


 要は、鍋の蓋を手に持ってこれは盾ですと言っても、ダンジョンには認められないので装備品にはならないってところだ。


 さて、木剣はちゃんと【武器】にカテゴライズされている。早速この木剣にスキル〖装備レベル付与〗を使ってみる。


《装備【木剣】に経験値100を付与して、レベルを上昇させますか?》


 もちろん――――【はい】を押す。


《装備【木剣】が【木剣Lv.1】に進化しました。》


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 【木剣Lv.1】

 カテゴリー:武器

 攻撃力+50

 Lv1:攻撃力+49

 Lv3:攻撃力+50

 Lv5:サイズ自由変更

 Lv7:腕力+30、俊敏+30

 Lv9:攻撃力+100

 Lv10:強制ノックバック

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「うおおおお! あっ」


 思わず声が出てしまった。


 ただの木剣がめちゃくちゃ攻撃力上がってる……?


 僕が想像していたレベルの効果よりもずっとずっと高い。ただ一つ気になるのは、効果が付与されるレベルがまちまちだ。奇数だけだと思ったらレベル10でも効果が付与される。


 ひとまず、効果を体験してみよう。


 近くにいたブルースライムを斬ってみる。


 今までなら木剣がブルースライムの体から弾かれる感触があった。なのに――――まさか一撃で弾け飛んだ。


 はは……は……一撃かよ。すげぇな。


 これって木剣のレベル1の時点でこうなんだから、制服のレベル1とかものすごいんじゃないか?


 こうなったら試すしかない。


 俺は次々ブルースライムを一撃で倒し始める。


 夢中になってはいるが、意外に冷静だ。


 元々探索者を志した以上、探索者の鉄則は頭に叩き込んでいる。興奮や恐怖を感じた時こそ冷静にだ。


 まず、全ての才能やスキルに、装備のレベルを上げられるものなんて聞いた事もない。


 これを他の人が使えるかまでは分からない。けれど、使えると見た方がいいだろう。


 となると、僕が一撃で倒すのはあまり見られたくない。しかも制服だから簡単にバレてしまう可能性も……。


 レベル成長限界値1の僕では簡単に倒せないはずだから。


 周りをちゃんと確認しながらブルースライムを倒し続けた。


 ◆


 午後の授業が終わり、解散の時間になった。


「今日で四日目だ。明日金曜日で一週間が終わる。さらに三週間のカリキュラムが続くので、今月中はずっとダンジョンにくるつもりでいてくれ。それと戦う魔物はパーティーで決めていいが、決して無理はするなよ」


「「「「はい!」」」」


 現地解散した時、先生に呼ばれた。


「誠也」


「はい?」


「どうだ。もしお前が辛いというなら、三日間経験したから明日からは午後から帰すこともできるぞ」


 これはきっと僕を馬鹿にしているのではなく、心配してのことだ。ここ三日間の先生を見ていると、気怠そうにしてたりもするが、凄く面倒見がいい。


 初日に僕を抜いて四人ずつパーティーにしたのも、八人のためではなく、僕のためだ。僕が足を引っ張ってギクシャクになるのを避けてくれたのだ。


「ありがとうございます。ですが、しっかり参加させて頂きます。それと、本当に僕のことは気にしなくて大丈夫ですので」


「だが……」


 このままでは明日から付いてくると言い出しそうだ。ここは一つ……嘘でも言っておくか。


「実は……僕の家族に上位・・探索者がいまして、装備品が揃っているんです」


「そうだったのか!?」


「はい。初日にブルースライムを倒したと言ったんですが、あれも昔から探索者を目指して鍛えたからです。それにブルースライムくらいなら上位装備品があれば、レベル1でも何とでもなりますから、心配しないでください」


「それなら良かった。そうか……来週からは装備は自由にする予定だが、誠也は明日から自由にしてもらって構わないぞ」


「ありがとうございます! では、さようなら!」


「気を付けて帰れよー」


 僕はその足で家に帰った。

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