第24話

 超級の魔物が三体。

 想像を超えるものたちの登場に和葉たちの中で緊張が走る。


「戦うのはやめておいたほうがいいわよ?相手にもならないから」


 聖剣へと手を伸ばした悠真を牽制するかのようにルシアが口を開く。


「元より魂を半分だけとし、その存在の格をかなり落としたイムの強さは全力時の1000分の1以下よ。本来の実力の1000分の1しか発揮できないイムを相手になんとか辛勝した貴方たちが本来の実力のイムと同等の存在である私たち二人に勝てるとは思わないことね」


「そうですわねぇ」


「あっ、ちなみに今の僕はだいぶ弱体化しているからみんなでも楽に倒せると思うよ……一体回復にどれだけの時間がかかるのやら。一年はかかるよなぁ」


「「「……ッ」」」


 イムが著しく弱体化していることなど最早なんの慰めにもならない。

 イムと同格のやつが二人存在し、せっかく削ったイムも一年で復活するというの だ。

 どうしようもない、打つ手のない状況と言えるだろう。


「戦意を喪失してくれたようで何より」


 あまりの絶望に言葉を失い、手に力の入らない和葉たちを見てルシアは満足そうに頷く。


「さて、自己紹介はそろそろ終わりにして本題に入りましょうか」


 お通夜のような雰囲気が流れる中、ルシアは楽しそうに話を切り出す。


「……ねぇ、和葉。さっきから僕を握る力強いよ?手加減して?弱体化しているんだから、著しく。結構ちゃんと痛い」


「ちょっとイム、話を区切らないで?そのくらいならいけるでしょ?我慢してちょうだい」


「僕はもうある程度満足しているだよ!もう出てくるつもりなかったのに引っ張り出されてイラついているの!痛いの嫌!和葉緩めて」


「あっ、うん。ごめん」


 和葉はイムの言葉に頷き、イムを抱きしめていた腕を緩める。


「よし。というか、ルシアに真面目は似合わん。サクサク行こ。ムードなんてきにせず」


「もー、私もイムと同じことして見たかったのにぃー。まぁ、いいわ。じゃあ単刀直入に言うわね。私たちの目的は簡単。神を殺すことよ」


 イムに雰囲気を壊されたルシアは不満を露わにしながら、とんでもないことを口走るのだった。

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