第13話
京都から、イムの体によってすべてを飲み込まれたこの場から和葉たちのサポートとしてやってきていた多くの冒険者がいなくなったことを確認したイムは口を開く。
「はっはっは!行間はこれにて終わり!始まるのは一つの物語がクライマックス!」
ハイテンションの彼が語るのは一つの物語。
「摩訶不思議な世界。天上にて不気味に輝く太陽が下。どこまでも透き通り、どこまでも暗く沈みゆく青き大地が上に立つ一人の少女はたどり着いた。恵まれた才能を持ちながら己が生まれた環境によってそれが芽吹かなかった一人の少女はとある存在との出会いにより、その才覚を開花させた。今や英雄、今や最強が一角。頼もしき味方を得た少女は今、敵へと落ちた己が最初の味方へと己が武器を向ける」
イムの言葉は宣告だ。
「一つの物語。激動の時代を歩んだ人類の末。ただ一人の少女とただ一匹の魔物の出会いより始まった変革と驚嘆の物語は今。一つのクライマックスを迎える」
それはナレーションだ。
この世界の流れを決めるナレーション。
イムが登場キャラクターの一人であり、語り手であり、作者であるのだ。
「この戦いが世界の行末を決める。迎えるのはハッピーエンドか、それともバッドエンドか」
椅子と机。
それは再びスライムへと戻り、地面へと沈んでいく。
「それはこれからわかる」
地面に足をつけて立つイムの背中が裂け、そこから数多の触手が伸びてくる。
「……行くよ。絶対に勝つよ?返事は『はい』しか認めないから」
「「「「はいッ!!!」」」」
「……ッ」
イムが戦闘態勢へと入ったことを向け、和葉たちも戦闘態勢へと入るのだった。
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