第11話

 イムと同じテーブルを囲み、イムの用意した紅茶を飲む和葉と珠美。


「それにしてもこの茶葉ってどこから来たの?」


「僕が育てているんだよ、これ」


「えっ!?」


「スリランカ行ったとき、茶葉貰って。美味しかったからその種まで貰ってダンジョンで育てる」


「ダンジョンで!?」


「ダンジョンが元々は超級の魔物たちの家だったのは聞いた?」


「うん、聞いたよ」


「魔物の中には家庭菜園が趣味のやつもいるからね。そういう奴に対応できるよう、ダンジョンというより、彼らは自分の体内に畑を作れるんだよ。だからダンジョン内に畑を作るも同じ」


「なるほど」


「しっかりダンジョンを有効活用しているわね」


「元々は僕らの家だし」

 

 和葉と珠美は普通にイムとくだらない雑談に興じていた。


「じゃあさ、なんで自分たちの家を使って私たち人類へと攻撃を始めたの?」

 

 そんな最中、和葉は己の雰囲気を一変させ、イムに対して疑問の声を投げかける。


「えー。それはこんな行間で話すことじゃなくない?話すのは後で、ね?」


「私としては今話してほしいかも?ご主人命令だよ?」


「今はちょっと受け付けないかなー。従魔契約による弱い拘束じゃ僕も縛られないし……今から話したいならさ、もう……やる?」

 

 イムの瞳が輝き、そして彼は指パッチンを一つ。


「「……ッ!?」」

 

 天まで届くほどの摩天楼はドロドロに崩れ、一つの巨大なスライムとなるのだった。


「ふふふ……やる?」

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