第30話
千代田区ダンジョン攻略開始から早いことでもう一か月。
ここまで一切地上に帰ることなくダンジョンに潜り続けたご主人たちはとうとう千代田区ダンジョンの最下層。
50階層に到達していた。
コメント
・とうとう彼女たちの長い旅路が終わるのか。
・ようやく懲役から解放されるんだね
・イムちゃんの軍曹っぷりがすごかった
・50階層到達!マジで凄い!
・本当に人類の希望だわ、この二人
・マジで凄い
この一か月間。
和葉たちがダンジョン内を進み、魔物と戦う様を見続けていた視聴者たちもとうとう訪れた最終戦に感動している。
「……」
「……」
そんな最中、当の本人たちであるご主人たちは何もしゃべらず、目の前にいる敵を警戒していた。
「ろろん」
千代田区ダンジョンの50階層を守るボス。
それはスライムであった。
「というか、なんで僕の分身体がここにいるんだし」
千代田区ダンジョンのラスボスとして君臨しているスライムを見て僕はぼそりと感想を漏らし。
「「……えっ!?」」
それを聞いたご主人たちが驚愕の視線をこちらへと向けてくる。
「あぁ、あれは僕の分身体で間違いないと思うよ。正確に言うと僕のだけではないけど。マザー……じゃ通じないか。ちょっと前に話として出てきた『母なる懸濁粘性体』ダンジョン内にいるすべてのスライムの生みの親であり、マザーと呼ばれる僕の同種と一緒に自分たちの体をこねくり回して作り上げたのがアレなの」
僕とマザーが適当に作り、そこそこの強さのを作れはしたが、それでも知性がなく、所詮は端末。
期待していた自分たちの同種とはならず、適当に捨てた自分とマザーの子供とも言えるスライムが
「なるほど……叩き潰そう!」
「ふっ。塵一つ残さないわ」
僕の言葉を聞いたご主人たちから先ほどまでとは違う別種のドロドロとした殺気が溢れる……急に変貌してどうした?まぁ、やる気なのは良いけどね。
あのスライムは僕とマザーのお手製なこともあってかなりの強さを誇るが、今のご主人たちなら問題ないだろう。
ご主人は『怪力』と『高速再生』を。
珠美は『結界』と『武器錬成』を。
それぞれ強力な力を二つずつ追加で手にしている。
今の二人ならあのスライムにも勝てるだろう。
「頑張れー」
僕は戦闘を始める二人へと声をかけるのだった。
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