第31話
基本的なスライムの攻撃手段は突撃一辺倒。
熱を感知し、それに対して突撃することしか能のない存在が基本的にダンジョンを徘徊しているマザーからこぼれ落ちるように誕生する分身体のスライムであり、今。
ご主人たちの前に立ちふさがっている個体も例に漏れない。
「暇なんごねー。しかも映えない」
目の前で行われているスライム対ご主人たちの戦いは歴史上まれに見る塩試合だった。
スライムはたった一つの攻撃手段しか持たぬ割りに硬い。
そして、スライムのたった一つの攻撃もそれだけで脅威なのでご主人たちはそれを全力で防ぎながら反撃に出るという構造。
これがずっと続く。
「……寝ても良いか?これ」
そんな様が既に30分ほど続いている。
コメント
・良いわけがないwww
・さすがに草
・あまりにも酷すぎるw
・イムちゃんが寝るんだった私の寝るわ
・寝ているスライムと戦うスライム
地獄のような時間が続く中、僕がぽつりとこぼした言葉に対して
「これ……三時間コースだぞ」
だが、そんなコメント欄に対して僕は絶望的な宣告を告げる。
同じスライムであり、我が子とも言えるような相手だからこそわかる。
あいつの体力はまだ半分も削れていなかった。
コメント
・それはちょっと話が変わってくる。
・ごめん、俺が悪かった
・いくらなんでもこれを後三時間は苦行。
・許してくれ
・イムちゃんの配信をここでお願い
・ガチ恋勢でもキツイ
・クソ過ぎるwww
コメント
「……スライム以上に苦行を強いてくる相手はいないよ」
この世界でスライム以上に生存能力が高い生命は存在しない。
神は世界を作れてもたった一匹のスライムは殺せない、って言葉があるくらいだ。
「まぁ、ここは僕が場を持たせますかぁー」
僕もアイオーンチャンネルの一員。
ご主人たちが頑張っている間に視聴者を楽しませるのは僕の仕事……ということで僕はせっせと雑談配信を始めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます