第26話

 千代田区内にいた魔物たちの悉くを粉砕し、千代田区のダンジョンの中へと入っていた。


「ここで選手交代、っと」

 

 僕はカメラを持っていたご主人からカメラを奪い取り、和葉と珠美の裏を陣取る。


「地上のはどれも強敵ぞろいの怪物たちであったけど、ダンジョンの方は通常難易度に戻っているからね。二人が挑むにはちょうどいい難易度になっていると思うよ」


 カメラを持ち、ご主人たちの二人を映している僕は二人に向かってそう告げる。


「こ、ここで私たちにパスするの……?」


「良いじゃん、珠美ちゃん。私たちの力の見せ所だよ!」

 

 いきなりの出来事に困惑する珠美に意欲的なご主人。


「むむ……まぁ、そうね。イムくんにだけ美味しい思いをさせるわけにはいかないからね」

 

 斧を取り出し、やる気満々のご主人を見て珠美も


「それじゃあ、半年前の通りに僕がサポートと撮影。二人が戦闘ね?」


「ふふふ。見てて、イムちゃん。私たちが成長したってこと、見せてあげるから!」


「えぇ、そうね。貴方の度肝を抜いてやるから楽しみにしていなさい」


 二人は意欲たっぷり、やる気満々で戦闘態勢に入る……実はこっそり二人の活躍を監視していたため、二人の実力を正確に理解していることは黙っておくとしよう。


「よし、じゃあ早速進んでいこうか」


「おー」


「行きましょう」

 

 ご主人と珠美は半年前と同じ雰囲気でダンジョンを進んでいく。

 そして、ダンジョン内を進んでいるご主人と珠美から少し離れた後方を陣取っている僕がそんな二人のあとをカメラを持って進んでいく。


「……ふふふ。二人にはここで今の十倍くらいは強くなってもらうんだから」


 二人に聞こえないくらいの声で僕は自分の目標を口にするのであった。


コメント

・何を口走ったの?

・え?今、さらっととんでもないこと言わなかった?

・十倍www

・ヤバすぎワロタ。

・???

・どういうこと?

・十倍強くなる…既に人類最強レべルの二人を十倍くらい強くするってマジでとんでもない。

・これぞイムちゃん。

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