第25話

 千代田区内の魔物がどれだけ強かろうと僕の敵ではまるでない。


「ふんふんふんふーん」

 

 僕は襲い掛かってくる魔物たちの悉くを腕の一振りで蹴散らし、先へ先へと進んでいた……それにしても僕のことを恐れて逃げる魔物が全然いない。

これくらいの強さであれば明確な知性でもって逃げ出す奴がいてもおかしくないと思うんだけど。


「想像以上に無双している……これが一昔前に流行っていたという俺TUEEEEってやつなの?」


「本当に想像以上ね、私もここまで思わなかったわ……まさか少しも戦闘らしくならないとは。コメント欄もドン引き中よ」


 人類と魔物の差はかなり大きい。僕とてこれでもまだ本調子ではないし、自分と同格と言える魔物もそこそこいる。

 魔物のインフレ具合に人類は全然ついていけていないと言っていいだろう。


「この程度で驚かれても困るんだけどねぇ……っと、ということで千代田ダンジョン到着です。ダンジョン性の建材を使って建てられた防衛拠点は流石の耐久性。半年経ってもその形を保っているね。半年前の戦いの激しさを示すかのような跡が残っているね。白骨死体も確認することができる」


「……ここが、私たちが半年前にたどり着けなかった景色」


「……ここまでの」


 和葉と珠美も半年前。

 ここの援軍としてやって来ようとしていた身。

 この光景にはやはり、何か思うことがやはりあるのだろう。


「ということで千代田ダンジョン到着……それと同時に千代田区内にいた魔物たちも殲滅し終えたのかな?」


 自分の元へと続々戻ってくる自分の分身体であるスライムたちを見ながら僕はボソリと感想を漏らす。


「は?千代田区内にいた魔物を全て討伐……イムちゃんってそんなこと出来るの!?」


「まぁ、この小さなスライム一人一人が今、二人の前に立っている僕と同じだけの強さを持っているわけだからね。そりゃよゆーに殲滅出来る」


「「……」」


 僕の言葉に和葉と珠美が唖然としている間。


「この子達は千代田区の復興に当てようか……」


 僕はサクサクと自分の体を操って千代田区復興に向けての行動を始めていく。

 どうせなら以前と何も変わらぬままの姿をお送りしたいよね。


「うし!ということでやることも終わったし早速千代田区のダンジョンへと入っていこうか!」


 僕は未だに唖然としている二人に向かって元気にそう語りかけた。

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