第21話
千代田区を除く東京の全てを見事に開放したご主人たち。
「流石だっぴ」
そんな彼女たちの元に僕は半年ぶりに帰還していた。
「……イムちゃん!?」
「……はわっ!?」
和葉と珠美がくつろいでいた仮拠点へとひょっこり顔を見せる僕に対して二人は驚愕の表情と声を露わにする。
「お、おかえり?」
「今まで何処に行っていたの!?」
「武者修行的な?」
二人の言葉に対して冗談チックに返す僕は人化している状態からスライムの姿へと変えて和葉の頭の上へと収まる。
「わわっ!?」
「……本当になんでずっといなかったの?」
『いやー、僕がいるのといないとのでは命の賭け方がちゃうやん。どんな相手であろうとも結局のところ僕がいたら勝てるしね』
今の僕であっても、現状地上に出てくる魔物を相手に負けるつもりもなければ負けるはずもない。
そのような状況下にある僕が傍にいるのといないのでは和葉と珠美の緊張感も違うだろう。
『それに二人の人気にも関わるやん。二人が勇者の代わりに活躍し、人類の希望になるとしても苦難にあえぐ人たちからしてみれば僕がやれば解決やろ?ってどうしても思うだろうしね』
それに民衆へと与える印象も違う。
『二人が僕にとって本当のご主人様になるためには必要なプロレスなんだよー』
「……本当のご主人様?」
「まるで今の和葉では駄目みたいじゃない?」
『やっぱり自分としては己のご主人は人類の英雄くらいであってもらわないと困るからね……ふふふ。二人とも良い感じに成長してくれちゃって。僕は嬉しいとです』
この半年間における二人の成長は本当に素晴らしい。
僕の想像以上と言って良い……人徳にはまだ怪しい部分もあるが、その実力はもはや二人を凌駕していると言っても良いのかもしれない。
『とまぁ、そんなこんなで離れていたわけだけど、千代田区解放は別……ご主人たちでは絶対に無理な相手だし、僕の力が必要になってくるだろうからね。千代田区解放はちょっとしたイレギュラー。サクッと僕も手を貸すつもりだから任せて!』
僕は二人に対して自信満々に胸を張って答えた。
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