第16話

 ────あなたが本当に交信してくれると思いませんでした。


 別に僕だって約束くらい守るさ……こっちの状況も大きな変化を迎えている頃合いだからね。


 ────結局業務連絡ですか。つまらないですぅ……私は不満ですよ?


 はっ。僕の知ったることじゃないね、うん。実にどーでもいいってやつだよ。


 ────もう少し貴方は私たちに対しても優しくしてくれてもいいと思いますよ?


 僕のキャラじゃないね。それは僕の同胞に求めるんだね。彼女は母のように優しいだろう?


 ────同じ種族とは思えないほどの対応の差に私は泣いてしまいそうです。それで?そっちの状況は問題ないですか?


 問題ないよ……すべて想定通り。問題なく

 

 ────それならば良かったです。そっちの方で貴方と会えるのを楽しみにしていますよ……人となった貴方と子供を作りたいです。私と貴方との子供ですからきっと強いはずですよ。


 急に下ネタぶっこんで来るな、阿呆。


 ────私としてはやはり自分の種族の数を増やしたいんですよぉ。出来るだけ強者の血を。


 スライムに振るな、そんなこと……もう切るよ。


 ────えぇ。それではまたあとで。


 おう。また後でね。


「さて、と……」


 今は少し離れたところにいる友との交信を切り、視線を自分の後方へと下げる。


「ちゃんと頑張ってね?ご主人」


 富士山ほどの大きさを持つ京都に蠢く巨大な肉塊。

 その頂点に立つ僕は東京の方にいるご主人たちを見て笑みを浮かべるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る