第14話

 ご主人たちが向かっていた千代田区。

 だがしかし、彼女たちが到達するよりも千代田区が陥落するほうが早かった。


「これは無理だね。うん」

 

 ご主人たちが着く前に冒険者たちの戦線は崩壊したのだろう。

 雪崩のように魔物が溢れだし、今まで以上に大暴れしていた。


「逃げようか」

 

 スライムの姿から人の姿へと変わった僕はなおも戦おうとするご主人たちへと声をかける。


「ここで逃げるわけには……ッ」


「どちらにせよ、ここで少しでも足掻かないと……放置していたら一気に日本全土が消されちゃうわ!残っている冒険者がいるのであれば彼らと合流しないと……!」


「無理だね。これをぶち抜くのは今のご主人たちには無理だし……あと、千代田区のダンジョンから溢れだした魔物たちはしばらくの間千代田区から出てこれないからね。危険視する必要もないよ」


「……え?そうなの?」


 僕の言葉に珠美が疑問の声を上げる。


「うん。そー、だからこそここは逃げ一択。無駄に命を散らせるのはね……言っておくけど、自分から死地に突っ込んでいく愚か者を僕は助けるつもりないよ?」


「……ッ」


「よし、逃げようか。珠美ちゃん。損切も時には必要なんだよ」

 

 僕の言葉を受けても悩みの感情を見せる珠美に対してご主人は素早く決断し、少々のサイコパスぶりを見せつける……ご主人ってば社会に見捨てられたスラムで育っているからなのか、ちょっとばかりサイコパスっちくなんだよね。


「う、うん……そうかもね」


 珠美は少しばかりの迷いを見せながらもご主人の言葉に頷く。


「確かに、そうね。ここで私たちが苦難に満ちた争いを演じる理由はない……引きましょうか」


「うん!そうしよ」


「はい、来た……ということで僕はちょっとばかり別行動するね?少ししたら戻ってくる」


 引く方針で固まった二人を見て僕も言葉を告げる。


「ちょっ!?えぇ!?」


「……まっ!」

 

 僕はその場にご主人と珠美を置き去りにし、目の前にいる魔物たちを蹴散らして地面を駆け抜け始めた。





 あとがき

 

 久しぶりに書くからテンション感とか迷走するかも許して。

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