第13話
日本最大のダンジョンが存在し、それに伴って数多くの冒険者が住居を構えている千代田区は地獄の様相を呈していた。
「そっち行ったわ!」
「了解!」
「邪魔」
街の中をさも当たり前のように魔物が闊歩し、それに対して冒険者たちが死力を尽くして決死の抵抗を行っている千代田区。
ここは僕の想定を超えて悲惨なことになっていた。
「ふんふんふーん」
ご主人と珠美が必死の救護活動を行っている最中、僕は自分の体からスライムを伸ばして救護作業に当たっていた。
瓦礫の下敷きになってしまった一般市民、逃げ遅れた一般市民。
ボロボロになり、地面に打ち捨てられた死にかけの冒険者など、多くの人を僕は救出し、そのままご主人の学校にまで
「……も、もしかしてここで……いや、まさかねぇ」
魔物と戦いながら僕の方を見てちょっとした感想を漏らしている珠美には気づかなかったことにしながら、救護作業を続ける。
「瓦礫多いし……魔物多い。邪魔」
僕の救護作業を拒んでくる不届き者を徹底的にぶちのめしながら僕は救護作業を続けていく。
「えぇい!まどっろこしい!全部倒すのは諦めるわ!」
僕がそんなことをしていると、ずっと魔物と戦い続けていた珠美が怒鳴り声をあげる。
「まずは悠馬さんとの合流を最優先とするわ!魔物は後、走り抜けるわよ!」
「うん!わかった!」
珠美の言葉にご主人は何の疑いもなく頷き……走り始めた彼女たちを追って僕も走り始めた。
■■■■■
ダンジョンスタンピードによって日本中がパニックとなっている現在。
そんな日本の中でも最もパニック状態となっているかつては日本の首都となっていた京都。
千代田区……というか、皇居にダンジョンが出来てしまったせいでこれまで通りの皇居に住むことが出来なくなってしまわれた天皇陛下並びにそのご家族が現在住居を構えている京都こそが日本の中で最もひどいパニック状態となっていた。
「応答しろ!応答しろ!……頼む……頼むから!応答してくれぇ!!!」
隔離された京都。
ありとあらゆる電波が繋がらなくなってしまった京都。
そんな中───。
「……青が、来る」
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