第9話
僕が栗のまんじゅうをいただき、ご主人が団子を頬張りながら……緊張感のかけらもないような状態で僕たちはダンジョンを駆け巡っていた。
「ふむぅ。やはりお団子は美味しい」
「和菓子ってあんまり食べないけどどれもすごく美味しいよね」
栗まんじゅうをペロリと平らげ、ダンジョンのボス魔物を足蹴り一つで吹き飛ばした僕は口を開く。
「うん。そうだね……っと。これで潰したダンジョンは五つ目」
「ここらへんの小規模なダンジョンはもう全部潰れているかな?他の冒険者も精力的に動いているし……うん。大丈夫」
僕は太鼓判を押すように頷く。
「それなら良かった……珠美の方は大丈夫かな?」
「彼女なら問題ないと思うけど……一旦避難所の方に戻ろうか」
「えぇ、そうね」
僕の言葉にご主人が頷く。
「それじゃあ、しゅっぱーつ」
明るいご主人の言葉と共に僕たちは避難所の方に向けて歩き出した。
■■■■■
ご主人と珠美の通う高校は避難所となっており、一週間で彼女たちが施した数多くの準備のおかげで日本でも有数の避難所となっている。
「珠美の位置はわかる?」
「うん。わかるよ……ついてきて」
有名人である僕とご主人が何の変装もなしに避難所内を歩けば大変なことになってしまう。
なので、自分たちの姿を周りの人に見られないようにする魔法を使いながらどんどんと進んでいく。
「ここかな?」
校舎の中に入り、そのまま進んで校長室の前で僕は立ち止まる。
この中に珠美がいると僕の魔法は判断していた。
「失礼します」
校長室の扉を開けて僕は中へと入る。
「ほらほらほら!さっさとして!」
「ひぃぃぃぃぃいいいいいいい」
校長室では半ケツ丸出しの校長のケツを踏みつける珠美が高笑いしながら手に持った鞭を地面に打ち付けていた。
「失礼しました」
僕は速攻で扉を閉める。
「よし、珠美は死んだ。これからアイオーンチャンネルは僕とご主人のふたりだね」
「ちょ、ちょ、チョット待って!?誤解だからぁぁぁぁぁああああああああッ!」
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