第27話
厄介な後衛は潰した。
残りは前衛だけ。
『行くんごー』
僕はプラカードを手に疾走。
彼ら三人に向けてプラカードを振るう。
「……ッ!俺が抑えるッ!」
騎士王として誰よりも前に立つ蓮夜は悠馬くんと鈴音を庇うように前へと立ち、片手にある盾を構える。
『無理だよ』
そんな蓮夜に対して僕はプラカードで百連撃。
一秒足らずで百発撃ち込まれた盾はあっけなく破壊され……続いては蓮夜本体。
「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!?」
鎧を打って、撃って、討って。
「ラァッ!!!」
『よいしょー』
僕の方へと斬りかかってきた勇者に仲間である蓮夜を……鎧まで破壊された蓮夜を放り投げて吹き飛ばす。
「クソッ!!!止めれッ!パラライズ」
『残念ながら僕にその程度のスタンは効きません』
「アシッドボムッ!」
『毒は頂きますやで』
状態異常など、僕が効くわけない……プルプルの粘性体である僕をどうやったら状態異常にさせられるというのか。
一体どこを異常にさせるというのか。神経もないんだぞ。
『君も一緒にね』
僕は鈴音を掴んで投擲。
悠馬くんたちが重なって倒れている場所へと。
『秘儀、多重影分身ッ!』
影でもなく、分身でもなく。
すべて本来……この場にいる一つの僕を十の僕へと変えて悠馬くんたちを囲う。
『喰らえ、魔法連弾ッ!』
僕は口から大量の魔法をどしどし吐いていく。
一秒で一つの魔法。十人いるから一秒で10の魔法。一分で600の魔法。
『ふぅー、やれやれ。その程度の硬さで人を守る騎士としての仕事を出来ているのだろうか?』
僕の大量の魔法を浴びてあっさりと気絶した蓮夜と……そのついでに早々と意識を手放していた鈴音を僕で包んで後衛の二人同様遠くまで輸送する。
「……なるほど。ここまで常識外なのか」
ただ一人となってしまった悠馬くんは頬を引き攣らせ、苦笑を浮かべながら口開く。
ちなみに彼はほとんど傷を負っていない。
「……どうしたものかねぇ」
『撃っていいとも』
「……ん?」
『君の使える最強の奥義、勇者としての本懐。ラスボスを倒す最後の一撃。君の全身全霊を僕にぶつけてもらって構わない』
僕は地面をちょいちょいと魔法で操って魔王っぽい椅子を作り出して、その上に鎮座する。
『さぁ、見せてみろ。勇者よ。君の輝きを』
僕は不敵な笑みを浮かべ、堂々たる態度でプラカードを掲げた。
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