第19話
前世における僕の家には色々な物が置いてある……必要あるものから必要ないものまで。
僕が適当にネットでポチったものが多すぎるのだ。
「……ぷぎぃー」
基本的な家具類は全部僕と珠美の二人で良さげなの選んで買っているが、あったら便利な小物類はまるで買っていない。
洗剤とかも買ってないな、そういや……それも持っていこう。
僕はせっせと自分の家から必要そうなものを選んで回収。
「ぷぷ」
家の中を駆け巡った僕は武器部屋の前で体を止める……斧、何かあったかな?
僕のスキル『万能』の性質上基本的な装備は何でも使えるし、それに伴って多くの武器を集めていた。
もしかしたらご主人に合う斧があるかも知れない。
「ぷぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!?」
僕は自分が雑多に何でもかんでも集めたくせに、手入れもせずにほったらかしにしていたこともあって呪いやらなんやらでとんでもないことになり、暴走しまくる武具たちを抑えて僕はご主人さま用の斧を探した。
■■■■■
欲しい物を手に入れた僕は再び極小の穴を通ってご主人の方の家へと戻る。
「イムちゃん……何処行ったの……」
ご主人の家では突然いなくなった僕の捜索が行われていた……そう言えば出かけること言ってなかったわ。
「ぷぎぃ!」
僕は元の大きさに戻り、そのまま大量の物資を吐き出す。
「おぉー!イムちゃん……って、えぇぇぇええええええ!?なにこれ!?」
「……え?ど、どこからか盗んできたわけじゃないわよね?」
『盗むとは失敬な。そんなことしないとも』
僕は枯葉さんの言葉に言い返す。
『っと、そうだ。こんな小物類はどうでもいいんだよ。大事なのは次。ご主人』
「ん?何かな?」
僕は体の中から一つの斧を生やす。
『はい、どうぞ』
人類繁栄の始まり、人類が初めて手にした斬撃、大型の獣すら屠る攻撃力。
自分よりも巨大で強力な大型の獣と戦うには少々足りなかった投擲、棍棒、木槍とは一線を画す一振り。
いわば、斧とは人類が初めて己よりも強い大型の獣へと脅威を一撃で与えられるようになった火力の象徴であり、反撃の一手。
「これは……」
『始祖の石斧。人類最初の反抗の一振り……使っていれば勝手にご主人に馴染むだろうし、今後もずっと使っていける一振りだと思うよ、それ。僕からのプレゼント』
「おぉー!ありがと!」
僕から斧を受け取ったご主人は素直に御礼の言葉を告げるのだった。
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