第15話
ダンジョン5層を無事に突破し、しっかりと快挙を成し遂げて一躍有名になったご主人と珠美は記念すべき配信を行っていた土曜日の次の日である日曜日にも配信を行っていた。
配信の内容としては視聴者からの質問に答えていくという形だ。
「ゴリゴリの初心者であった私が短期間に強くなれた理由……ですか、何ででしょうか?何か特別なことを私はしていませんが……」
質問として寄せられた質問。
短期間で強くなれた理由を問われたご主人は首を傾げる。
『そこまで難しい話じゃないよ……基本的に探索者は魔物を倒せば倒すほどダンジョン適応値が上がって強くなっていく。ここまでは良いよね?』
なので、その代わりに僕が答える。
『それで、だ。テイムした魔物倒してもご主人のダンジョン適応値が上がらないってことになっているけど、それは嘘。やろうと思えば上げられるんだよね。ここらへんの細かい仕組みは省くけど……僕がサクサクと魔物を倒せばサクサクとご主人のダンジョン適応地が上がっていく。だから、ご主人は短期間で強くなったんだよね。つまり、僕のおかげ……もちろんご主人の努力と才能もあるけど』
正しくご主人に経験を積ませ、その成長を僕が時折魔物を倒してブーストする。
僕が誰よりも早く、確実にご主人をトップの冒険者に並べて見せる。
「おー!スライムちゃんのおかげだったんだ!ありがとう!」
僕の言葉を受け、ご主人がむにゅんと僕の体を抱きしめる。
「なんというか……若干の反則味があるわね」
『今更でしょ』
「まぁ……それもそうね」
「えへへ。私はスライムちゃんのおかげでここまで上手く行っているよぉ。おかげでちゃんとご飯も食べれているし!はぁ、もう離せないよぉ」
スリスリと僕の体へと頬を擦り付けるご主人は僕を抱きしめる力をさらに強くする。
「じゃあ、次の質問行きましょうか……えっと、スライムちゃんには名前をつけないんですか?っと……たしかにそうね。言われて見れば名前ないわよね」
「あっ……忘れてました」
『結構ずっと不満だったよ?僕は個体名で呼ばれ続けられているわけだからね。ということでご主人。ビシッと僕にふさわしい名前を』
「えっ……あ、うーん。んー」
僕に話を振られ、悩み始めるご主人。
「……イムちゃん。スライムのイムちゃんは、どうかな?」
悩んで悩んで悩み抜いた末、ご主人は僕の名前を決める。
『まぁ、安直だけど、それで良いか。これから僕はイムです。気軽にイムちゃんと呼んでくれれば』
ご主人に拾われてから半年弱。
ようやく僕は名前を手にしたのだった。
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