第16話
名前を得た僕は自分の生命、存在、魂へとその名を刻み込む。
「……凄まじく安直ね。でも、まぁ本人が受け入れているのだし、それで良いかしら。じゃあ、次の話に質問に移りましょうか」
僕がそんなことをしている間に珠美がどんどん先へ先へと話を進めていく。
「何かこれと言った目標はありますか?……か、なるほど。そうね……目標か……私の目標は変わらず日本一の配信者になることだけど、もうチャンネル登録者数的に言えば既に日本一で、なおかつ平均視聴者数も日本一。私の目標既にちょっと達成しちゃっている感があるのよねぇ……私的にはもっともっと上に、もっともっと有名になりたいから、こんなものじゃ全然足りないのだけど」
「おぉー、向上心たっぷり」
「リーフは何かあるかしら?」
「私は……よく考えて見れば何もないや。ダンジョンに潜り始めた理由は今日の晩飯のお金を稼ぐため。配信を始めたのもしっかりとダンジョンに潜るようになったのもイムちゃんが私の背中を押したからで……イムちゃんは何かある?」
『ひとまずダンジョン10階層に行きたいな。ダンジョン10階層には色々と特典があって……若干の裏技チックなのを使えば僕が人間としての姿を得られるようになるんだよね。スライムとしてではなく人間の姿で街を歩きたい」
スライムの体は便利だが、やはり人間の体が恋しい。
「おぉー!良いじゃん!イムちゃんの人化!ふへへ。よし、ダンジョン10階層だね……絶対に行ってあげる!」
「じゃあ、私たちパーティー全体の目標をダンジョン10階層の到達にしましょうか」
『あっ、もちろんボスは倒してね?』
「えぇ、もちろん……高校生のうちには達成してみせるわ」
『頼もしいね』
「じゃあ……次の質問はスライムに知性はありますか?……ッ、これは」
質問を読み上げた珠美は僕の方へと視線を送ってくる。
『あるぞ。知性』
僕はさらっとなんでもないことかのように質問へと答える。
『人間とさほど変わらない確固たる知性がちゃんと僕にはあるよ。これは政府でさえも認めている明確な真実だよ』
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