第14話
僕が強すぎたせいでちょっとだけ萎えてしまったご主人と珠美の二人。
それでも彼女たちはちゃんとミノタウロスと向かい、真剣に武器をぶつけ合っての激闘を繰り広げていた。
『おっとぉ!ここでご主人が孔明の一手!ミノタウロスを転ばせるというファインプレーッ!いやぁー、これについてどう思われますか、スライムさん』
『そうですね……基本的に相手を転ばすという行為による効果は圧倒的です。致命的な隙を晒すことになりますから。しかしです、相手を転ばすというのはかなり難しく、それに成功させたご主人の一手はまさに神業でしょう』
『ありがとうございます!いやぁー、ここからどれだけ二人がミノタウロスを削れるか……とぉ!ここでリンタナが自身の切り札であるスキル『腐食』を発動!自身の見た目の可愛さとのミスマッチ感が半端じゃない強スキル!強引にミノタウロスの体を削っていく!』
『ここでの切り札発動は良いですねぇ』
暇で暇で仕方がない僕は一人で実況席を作り、実況と解説を兼任してプラカードをどんどん挙げていく。
コメント
・一人実況席www
・案外、実況うまいな。
・ご主人が戦っている中、マジで何やっているんだ。このスライムは
・www
・はwたwらwけw
・なお、無言のもよう
案外視聴者からの評判はいい……なんでもできる万能な僕は実況と解説にも才能があってしまうのか……。
僕はくだらないことを考えながら激闘を繰り広げる二人の横で一人遊び続ける。
『キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』
『ようやく二人がミノタウロスを倒しました!歴史的な瞬間ですよ!これは!』
『いやー、実に感動的ですね』
激闘の果て。
ミノタウロスを無事に倒し、喜びを分かち合う二人を見ながら僕はプラカードの上げ下げを続ける。
「……って!さっきからずっと何しているのよッ!!!」
すると、ひとしきりに喜びをご主人と分かち合った珠美が僕の方へと視線を送り、盛大にツッコミを入れるのだった……実に完璧なツッコミだ。
珠美ならばツッコミ役の頂点に至れるよ。
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