第10話
僕に対して全力でひれ伏すブラッドウルフ。
「ど、どうなっていやがる……?」
それを前に礼二並びにその周りの人達の間に困惑が広がっていく。
まぁ、高校生がテイムしたには凄いブラッドウルフが最弱扱いされているスライムにこれ以上ないほど平伏するなど、予想外にもほどがあるって奴だろう。
「す、スライムちゃん……?」
その困惑は礼二たちだけではなく、僕の飼い主である和葉であっても同様であった。
「ふふっ。スライムにひれ伏す魔物……」
一体誰が言ったのか。
困惑と沈黙が降りるクラスに誰かの言葉が響く。
「誰だッ!俺を笑いやがったのは!」
そんな一言を受け、礼二が顔を真っ赤にして声を荒らげる。
「このッ!ウル!そんなスライム如きさっさとひれ伏せさせろ!」
「くぅーん」
礼二の怒鳴り声に対して情けない声で返すブラッドウルフ。
「ふふっ」
「くすくす」
それを受け、徐々にクラスの中で失笑が広がっていく。
「こ、この……ッ!お前がやらないのなら俺がッ!」
そんな中、顔をどんどん赤く染めていき、怒りをその身に纏わせる礼二がその怒りのままに僕へと掴みかかろうとする。
「キャンッ!」
だが、それを実際に行うよりも前にブラッドウルフが礼二へと飛び掛かり、彼を物理的に攻撃して押し倒すことでその凶行を食い止める。
「……は?」
それを受けて礼二がブラッドウルフへと信じられないものを見るかのような視線を送る。
「な、なんで?」
「くぅーん」
呆然とする礼二を無視してブラッドウルフは僕へと頭を下げ続ける。
「あっはっは!いつもあれだけ威張ってんのに自分の魔物の管理すら出来ていないのかよ!」
そして、クラスの中でとうどう我慢の限界だとでも言いたげに大きな笑い声が一靴も湧きあがるのだった。
■■■■■
「……あのブラッドウルフがこれ以上ないまでの服従を示し、そのあげく。武力でもってしてでもスライムへと手を出そうとした主人を止めた……本来、忌避するはずの武力を使ってでも止めなきゃいけないほどの命の危機だった?あのスライム。もしかしてとんでもなく高位の存在なんじゃ……ふふふ。面白くなってきたわね」
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