第10話 告白

 ずっと夢に見ていた。

 原田君から、告白される日を。


 私が原田君と肩を並べられるくらい優秀だったら、自分からこくっても良さそうだけど……

 私程度の成績で、原田君に告るなんて、図々しく思えていた。

 

 原田君と同じ高校を目指すなら、今から受験も視野に入れて頑張がんばらなきゃならなくて、付き合うのは高校生以降っていう気持ちも有った。


 でも、佑香ゆうか登川とがわ君と一緒に勉強をしているの見て、うらやましかった。

 私も、原田君と一緒なら、勉強に対するモチベーションも上がりそうって。


 だから……

 原田君から面と向かっての告白は、信じられなかったけど、私にとってねがったりかなったりだった!


「高校受験後まで我慢がまんするつもりだったけど、お祭りが近いせいか、周りにカップルが増えて来て、うかうかしていたら、三池みいけさんが他の男子と付き合いそうだから」


 最近、あちこちでカップル誕生してると思ったら、お祭りが近かったせいだったんだ……

 私に告る男子なんて、そうそういないから、原田君の言い訳に笑わされた。


 高校受験後まで我慢するつもりって、私と価値観かちかんまで似ている!


 やっぱり、付き合うとしたら、価値観が一緒の人だよね!

 成績優秀だし、原田君は文句無もんくなしの逸材いつざい


「私も、原田君がずっと好きで、一緒に勉強出来たらな~って思っていたから、すごく嬉しい!」



 佑香や登川君のいる図書室に、一人で乗り込んでいくのは無理だけど、原田君から一緒ならこわいもの無し!


 分からない所は丁寧ていねいに教えてもらえるし、こんな事なら、もっと前に、私の方から告ってもOKもらえてたのかも。



 お祭りも、モチロン二人で行く事になったから、普段ふだんはオバサンむすびしている髪の毛をアップにして浴衣ゆかたを着た。


「中学生から交際なんて早いと思うけど、まあ、学年一の秀才君なら相手に不服ふふくは無いわ! 楽しんで来なさい!」


 お母さんのゆるしと、お小遣こづかいももらえた!

 

 毎年、お祭りは、佑香と一緒だったけど、今年は原田君と一緒!

 彼氏と一緒のお祭りって、2人ともずっと憧れていた。


 佑香は多分、登川君と一緒だね。

 どこかではち合わせしたりして。

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