第8話 前世の事
右手だけ、暖かく
目を開けた時に、飛び込んで来た白い天井……
目覚めて、
壁色には、見覚え有る。
ここは、学校の保健室……?
次に目に入ったのが、心配そうな
恥ずかしくなって、布団に顔を隠そうとしたけど、左手しか使えない。
右手は、登川君に
これって、私の
「気が付いた、
「どうしたの、私……?」
「体育の
私、倒れたの?
確かに、生理二日目で貧血気味だったけど……
今まで、そんな事無かったのに……
成績下がって、原田君に話しかけられて
「目を
右手から、登川君の気持ちが伝わって来る……
登川君に心配されるなんて……登川君の方が、よっぽど
もしかして、登川君は、この状態に、生まれ変わる前の私を重ねてる?
そういえば、あの時、ムカついて聞かずじまいだった事が有った……
「この前、聞きそびれたけど……私の前世って、どんなだったの?」
「多分、信じられないから、
軽く笑いながら話してくれた登川君。
それは、こんな内容だった。
前世の登川君は、
初デートの待ち合わせ場所は、科学館の前。
その日は、リラ冷えの雨降り。
バス停に向かおうとした時、車にひかれそうな男の子がいて、その子を助けようとした登川君が、車に
その頃は、まだ携帯電話も無くて、そんな事とも知らず、肌寒い雨の中ずっと、真君を待っていた瑤子ちゃん。
体が弱かったのに肺炎をこじらせて、真君の後を追うように3日後に亡くなった。
真君のように、前世にすごい
登川君の言っていた少数派って、その事だったみたい……
真君は、瑤子ちゃんとまた同じ時代に生まれたくて、転生のタイミングを待っていた。
すると、瑤子ちゃんの方が先に生まれて、前回の人生で途中までしか体験しなかった、
真君は、自分が瑤子ちゃんの人生を
だから、神様に頼んで、瑤子ちゃんの転生予定だった病弱な体を自身と入れ替えて、同時代に生まれた。
登川君が色白で病弱そうなのは、そのせい。
そして、私は、瑤子ちゃんの生まれ変わりとして、健康体で生まれて来た。
こんなのって、お
私、この前から、どうしたの?
登川君と関わると、不思議なくらい涙もろくなる……
登川君は、私じゃなくて、私の中の瑤子ちゃんを見ているだけ。
私が、メソメソしたら、お
帰宅して、
「私、生まれた時、健康だった?」
「沙希菜は、赤ちゃんからずっと健康優良児よ! あっ、でも、誕生時だけ、心臓に大きな穴が開いてるって宣告されたけど。多分、同じ誕生日に生まれた別の子と間違ったのよ。その後は、レントゲンで引っかかった事も無いし」
登川君の話を思い出して、また泣けて来た……
「えっ、どうしたの、沙希菜?」
人前で涙を見せない私が泣いたから、お母さん、オロオロしていた。
「ううん、なんでもないの……」
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