第4話 口説き文句には引っかかりません!

 転校当日に、登川とがわ君が、私の心をき乱してくるアプローチして来たから……


 この後は、どうなるのだろうって、ソワソワしまくっていた。

 不安とか、戸惑とまどいだけじゃなくて……


 私には原田君という想い人がいるのに……

 何となく、登川君に期待してしまう、そんな気持ちも混じっていた。

 

 私は、気が多いとか、八方美人でもないはずだけど……


 今まで14年間、誰かに言いられた事も、注目をびた事も無く生きてたから……


 そこへ、目もめるレベルの美形からアプローチなんて!

 自分のの上に起こっているって信じられなくて、いつもの自分らしさが麻痺まひしちゃって……


 少女マンガのヒロインみたい!


 ……って、思わず舞い上がっていたのかも知れない。


 そんな風にヒロイン気取きどりになったら、お決まりのハッピーエンドとか期待しちゃうじゃない?


 でも、単純な結末じゃなくて、もちろん、そこに辿たどり着くまで、邪魔じゃましてくるライバルも登場するのが、少女マンガの世界……


 ライバルっていうと、火花バチバチみたいな関係って思ってたけど……


 そんななったら、困ってしまう!


 だって、目下もっか、私のライバルとなりそうなのは……

 私の親友だから!


沙希菜さきな、さっきのって、どういう事?」


 そう言われそうな予感はしていたけど、1時限目後の休憩時間に、クラスメイトで親友の佐野さの佑香ゆうかが、私の腕を引っ張って、廊下まで連れ出した。


「どうもこうも、私だって、分からない!」


「登川君の幼馴染おさななじみだったとか、昔、どこかで会ったとかって記憶も無い?」


 佑香は恋バナ大好きで、二次元オタク女子傾向が強いけど、見た目はカワイイ子。


「あんな知り合いいたら、忘れないはず……」


「それ、分かる~! めっちゃタイプなの~!」


 そんな気がしていた。

 佑香は、筋骨隆々きんこつりゅうりゅう系より、線の細い色白美少年系が好きだもん。


 私は、どちらでもなく、原田君みたいな真面目まじめで誠実タイプだけど。


需要じゅよう供給きょうきゅう』という感じで、登川君も佑香が相手だったら、「待ってました!」とばかりにカップル誕生だったのに……


 相手、間違まちがえちゃってたね!


 私は、伊達だてにガリ勉なわけじゃないから!

 恋愛脳れんあいのう女子と違って、相手がイケメン男子だからって、あやしげな口説くどき文句には引っかからない!


 さっきは、想定外ぎる事だったから、頭と心がパニックになってただけ。

 

 私が原田君を好きな事は、絶対ブレないんだから! 

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