第2話 謎の転校生

 思わず、息を飲んでしまった!


 オシャレ女子より透明感の有る色白肌、茶髪に近い明るめで少しクセの有る髪、精霊せいれいのように美しく中性的な顔立ち。

 浮かべられた表情は、天使のように人々をいやし、魅了みりょうする。


 ううん、こんな形容では、全然足りない!


 どんなキレイ系女子も、彼の横に立つと見劣みおとりするほど、この世のものと思えないはかげな美少年。


 登川とがわ奏多かなた君という名前の、浮世離うきよばなれした男子が、私、三池みいけ沙希菜さきなのクラスに転校生としてやって来た。


 そんな風貌ふうぼうだから、クラスの女子だけでなく、男子までも登川君に視線が釘付くぎづけ。

 まあ今時、性別なんて有って無いようなものだし、男子が見れたって、不可抗力ふかこうりょくかも……


 原田君という想い人がいながら、私も思わず見入ってたし……


 ゴメンね、原田君!

 でも、私、見かけ第一主義じゃないから!

 ちょっとだけ……そう、『こわいもの見たさ』感覚で、好奇心が働いたの!


 みんなだって、今だけなんじゃない?

 『美人は3日できる』って、ことわざみたいな感じ。

 

 やっぱり、大事なのは、頭!

 

 さあ、平常心に戻って、勉強、勉強!

 

 教科書に視線を落とそうとした時だった。

 なぜか、登川君は、担任の先山さきやま先生が用意した席ではなく、別方向へ足が向かっていた。

 

 別方向……私が座っている後部の窓際席の方へ。

 

 えっ、私に向かっている?


 いやいや、こんな見目麗みめうるわしい知り合いはいない!

 

 だったら、一目れされた……?

 

 まさか、私なんかに……?


 自慢じゃないけど、今まで、こくられた事も、誰かからかれているとか噂された事も無いし……

 

 これだけのイケメンだから、前の中学校でも、可愛かわいい女子達にモテてたに違いないし……

 こんなルックス抜群ばつぐん男子が、私に興味持つとは到底とうてい思えない!


 だったら、どうして……?


 ううん!

 そんな自惚うぬぼれないで、落ち着いて、私!


 登川君は、多分、私の近辺の人の方に向かっているだけ。

 思い違いしたり、期待なんかしたら、ダメ!


 でも、どんどん近付いて、後は、私の周りは男子だけ……

 

 もしかして……そっち系の人?


 それも有り……?

 女子顔負けのキレイ系男子だし……

 きっと、男子達も、夢中なのでは?


 でも、原田君は止めてね!


 原田君は、私と席が近いけど……

 まさか、原田君に一目惚れしたとかって……?


 ライバルはイケメン男子なんて、困る~!

 私、勝ち目無い!


 そんな妄想もうそうしている間に、登川君の足は、ちょうど私の席の前で止まっていた!


 わ、私なの……!?

 

『また、えたね。僕らは、前世でも逢っていたんだよ』

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