生まれ変わっても、恋に落ちるの？

第1話 また、逢えたね

『また、逢（あ）えたね。僕らは、前世でも逢っていたんだよ』

　期末試験を一週間後に控えて、勉強に集中しなきゃならない時期なのに！

　さっきから頭の中で、壊れたプレイヤーのように、そのフレーズばかり繰り返している……

　どうなってるの、私の頭！

　もしかして、あの時から、ショートしちゃった？

　私には、憧れのクラスメイト、原田（はらだ）智己（ともき）君がいて、彼の目指す難関（なんかん）の高校に、一緒に行きたいのに……

　周りの女子達のように、私は、恋愛脳（れんあいのう）じゃない！

　頑張（がんば）って好成績（こうせいせき）をキープしなきゃならないんだから！

　恋バナだとか、男女交際だとかは、高校に進学してからで十分！

　こうなったのも、あの男子転校生のせい！

　えっと、名前は、何だっけ？

　あっ、そうそう思い出した、登川（とがわ）奏多（かなた）君。

　パッと見は、いかにも私の友人とか、二次元オタク女子とかが好みそうな、色白のキレイ系男子なんだけど……

　いくらイケメンでも、原田君という想い人がいる私には、トキメキ対象外！

　見かけだけで、ご飯食べて行けるなんていうのは、モデルやタレントくらい。

　やっぱり、男は見た目より、断然、頭！

　その点、学年主席を誰にも譲（ゆず）らない原田君は、パーフェクト！

　原田君を差し置いて、パッと見（み）だけがとりえの転校生なんて、どうだっていいの。

　私は、ただ平穏（へいおん）に学生生活を送りたいだけなのに……

　家では、両親が今にも離婚しそうな勢いでケンカが堪（た）えないし、３つ年上のお兄ちゃんは帰宅部で、ずっと大音量でゲームばかり……

　そんなヒドイ生活音しかない我が家に比べたら、学校は天国！

　何より、共に勉強に励（はげ）んでいる……って、自分に思い込ませている原田君がいる！

　家で、どんなにイイ子でいても、両親は好き勝手ばかリで、すぐにケンカするし、お兄ちゃんはボリューム下げてくれないし……

　だけど、勉強は、裏切らない！

　やったらやっただけ、ちゃんと報（むく）われる！

　だから、私は頑張って勉強して、原田君と同じ高校へ行って、原田君をいつか振り向かせて、いつか我が家とは全然違う、幸せな家庭を築くの！

　私には、そんな素敵な人生設計が有るんだから！

　それなのに……

　登川君が、転校早々、私の中に土足で踏（ふ）み込（こ）んで来たりしたから！

　天国だったはずの私の学校生活は、いきなり急降下！