第七九話 今日のノルマ
車に戻って電子レンジを助手席に出して収納の空きを確保。
それでもあれもこれもと考えると、収納がおいつかなくなる。
厳選の上、素槍二本、薙刀二振、太刀二振を選択。
それぞれ鑑定区分とか時代とか種類とか銘だのが書いてある。
正直なところ実用で使うのであまり気にしない。けれど念の為一応スマホで撮っておいた。
なお選んだ武器はいずれも柄や鞘等がある物を選んだ。
その方が使えるようにする手間が省けるだろうと思ったからだ。
ただ完全に外してあるのでつけるのはそれなりの手間暇がかかるだろう。
今ではなく、後で宿についてからの作業になる。
終わったのでとりあえず西島さんにSNSで連絡。
すぐに返信が来た。神社をぐるっと回ってまもなく車の所だそうだ。
車で合流することにして、収納庫から出て扉を閉めて、そして博物館の外へ。
赤い鳥居の方から二人が歩いてきた。
「いい槍が見つかりました?」
「ああ。予想以上に揃ってたから。ただ
「必要な材料があるならおすすめのホームセンターに案内するよ。どうせ今日は船台の北側を行くんだろ。ならちょうどいい場所にあるからさ」
そう話した時、スマホから通知音がした。時間的に今日のレポートだろう。
「今日のレポートは中身を見て考えたい。だから道なりに走って適当なファミレスがあったら止まってもらっていいか。勿論それまではいつも通り敵を倒していくとしてさ」
「わかりました」
駅近くを通る道を辿って、途中の道がそこそこ程度の太さになって大丈夫かなと思いつつ通って何とか抜けて。
途中一回ホブゴブリンが出てきたのを西島さんが倒して、そして更に先でバガブを上野台さんが倒して。
更に走ると太い道に合流した。その先更にホブゴブリンを二体倒したところで、全国チェーンのファミレスを発見。
駐車場に入って、どうせ問題ないだろうからいい加減に停める。店は鍵がかかっていたけれど作動魔法で開けて店内へ。
店内の照明は点っている。開店直前だったようだ。
「店の冷蔵庫や冷凍庫をのぞきたいところけれどさ。まだ出て2時間程度だしやめておこう。だから今は田谷君や咲良の魔法収納にあるものでいいか?」
「ええ、それでいいです」
「それじゃあの辺の広い席に陣取るとしよう」
席について、お茶や桃ジュース、どら焼きっぽい形のお菓子等を出してから、スマホを確認。
『六日経過時点における本世界のレポート
多重化措置後六/三五経過。
魔物出現数累計:六六二万六三九四体
うち二十四時間以内の出現数:六七万六〇五〇体
魔物消去数累計:二五八万三二八一体
うち二十四時間以内の消去数:二七万五一〇九体
当世界開始時人口:八〇四五人
現在の人口:七三三九人
直近二十四時間以内の死者数:九七人
うち魔物によるもの:七五人
累計死者数:八〇九人
うち魔物によるもの:二九八人』
現時点でのレベル状況
人間の平均レベル:一九・六
人間の最高レベル:レベル四四
人間の最低レベル:四
魔物の平均レベル:四・九
魔物の最高レベル:二五
魔物の最低レベル:一
なお現時点以降、発生時の魔物レベルが最大七となります。ご注意下さい』
本世界における魔物出現率:一七・一四パーセント
歪み消失率 九・六パーセント』
最終目標歪み消失率(規定値)達成までややペース不足』
「人間の平均レベルより魔物の最高レベルの方が上になりましたね」
西島さんの言葉に上野台さんが頷く。
「ああ。統率種の存在のせいだろう。統率種は部下が稼いだ経験値の半分を得られるからさ」
そう、つまり……
「部下が多い程、経験値も得やすい。経験値を得られればその分レベルが上がって部下を多く持てる。いやな循環関係ですね」
「ああ」
上野台さんは俺に頷いた。
「その中で生き残るには、自分が統率種や支配種と同様に周辺の魔物を支配するか、さもなくばそういったのが出ない、いない場所を作るかそういう場所に逃げるしかないだろうな」
「つまりは昨日の話と同じ結論になりますよね。自分達がレベルを上げて魔物を率いるという選択をしない限り」
「だな」
上野台さんは更にスマホに目を走らせる。
「船台都市圏の人口は一五〇万人ちょっとだった。そして人口一〇〇人に対してレベル一の魔物が一体出るらしい。
計算すると一日あたりレベル一換算で四二九体程度。今の平均がレベル五位だから、そのくらいで出現するとすると八六体程度。だから一日中魔物を倒しまくっていけば何とかなるかもしれない。
そのうち平均レベルも上がるだろう。そうすれば魔物の出現数も少なくなる。まずはそう思いつつ、ぎりぎりまで船台で経験値を稼ぐのがとりあえずは今の最善手かなと思うんだけれどどうだろう」
確かにそうかもしれない。この辺も昨日少し話したなと思い出す。
「船台より人口の少ないところへ行った場合、出現する魔物が少なすぎて経験値を稼ぎにくい。そういう事ですね」
「ああ。いずれ出てくる支配種に操られない程度のレベルは必要だろうからさ。最終的にどこかの島に逃げるにしても、最終日に出る可能性のあるレベル三五の魔物に勝てる位にはならないとまずいし」
「でもそれなら現在、船台の中心にいる程度の魔物は倒せないとまずいですよね。あとあまり強い統率種が出来ないようにうまく潰していかないといけないですし」
この辺は西島さんが言うとおりだ。昨日はオークが出た場所より先には行かなかったけれど、その辺も積極的に倒す必要がある。
「ああ。シンヤが駅前でレベル一五のゴブリンリーダーが出たと書いていたけれどさ。一日につきレベルが一上がるとして、レベル一六のゴブリンリーダーとそれに率いられるゴブリン種五体以上をあっさり倒せるようにならないとまずい訳だ」
なるほど。色々面倒な要素が出てきてはいるけれど、とりあえず俺達がやるべき事、出来る事は大体わかった。
「シンヤさんと四人で八六体以上倒すのが今日の目的ですか。つまり三人だと六五体」
「五分に一体倒しても五時間以上かかります」
確かに西島さんの言うとおりだ。なかなか厳しいノルマだなと思う。
「実際はもっとレベルが高いのが多いみたいだから何とかなると思うけれどさ。今日はとりあえずそんなところで。
あとこっちの方針も、とりあえずシンヤに送っておこう」
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